セッション情報 |
ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
急性肝不全の予後改善に向けた病態理解と治療の進歩
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タイトル |
肝W2-7:急性肝不全に対する人工肝補助療法Continuous Plasma-Dia Filtrationの有用性
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演者 |
小村 卓也(金沢大附属病院・集中治療部DELIMITER金沢大附属病院・消化器内科) |
共同演者 |
谷口 巧(金沢大附属病院・集中治療部), 金子 周一(金沢大附属病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】急性肝不全に対する人工肝補助療法(ALS)は,肝再生や肝移植までのbridgingとして非常に重要であるが,代表的なALSである血漿交換(PE)だけでなく,多くの症例で血液濾過透析(HDF)が併用されている.我々は第47回日本肝臓学会にて,1本の膜型血漿分離器,エバキュアーEC-2ATM;を持続的に使用するContinuous Plasma-Dia Filtration(CPDF)は,通常のPEより少ないFFP投与量で血漿交換が行え,さらに,その中空糸外側に灌流液を流し低・中分子量のアルブミン結合物質を除去し腎代替療法の役割も担い,血圧低下をきたさない安全なALSである事を報告した.今回我々は,急性肝不全におけるCPDFの臨床的有用性を検討した.【方法】厚労省研究班(2011年)の急性肝不全診断基準を満たす37例中,2009年12月から2012年10月までに当院にてCPDFを行った9例(男性 5名:女性 4名,平均年齢: 48.6±14.0歳,病因: HBV 2名,AIH 2名,薬剤2名,アルコール 1名,HELLP症候群1名,不明1名)を対象とした.CPDF施行による肝予備能,肝性昏睡起因物質除去効果および腎機能の推移を検討し,bridgingが良好に行えたかを検討した.【結果】全9例でのCPDF5日間施行前後における血中濃度の推移は,PT 34.1±17.5 %から48.8±13.9 % (p=0.0336),総ビリルビン値13.6±10.7 mg/dLから 11.0±9.71 mg/dL (p=0.0799),アンモニア値154±79.7 mg/dLから 172±104 mg/dL (p=0.0661),クレアチニン値2.17±1.70 mg/dLから 1.82±1.24 mg/dL (p=0.0758) であった.肝予備能の維持が不十分な3例はPEを,脳症コントロール不良の2例はHDFを併用することで,良好なbridgingを行うことができた.全例でCPDF特異的な合併症は認めず安全に施行し得た.【結語】急性肝不全に対するCPDFは非常に有用であり,病勢によりPEやHDFを追加することで効率的かつ安全にbridgingを施行し得る可能性が示唆された. |
索引用語 |
人工肝補助療法, CPDF |