セッション情報 |
ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
急性肝不全の予後改善に向けた病態理解と治療の進歩
|
タイトル |
肝W2-11:成人劇症肝炎に対する血液型不適合肝移植におけるリツキサンの有効性:日本血液型不適合研究会集計より
|
演者 |
江川 裕人(東京女子医大・消化器外科) |
共同演者 |
田邊 稔(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 島津 元秀(東京医大八王子医療センター・消化器外科・移植外科) |
抄録 |
血液型不適合移植の成功の鍵は術前リツキサン予防投与によるB細胞脱感作療法であり,慢性肝疾患に対する生体肝移植では移植1週間以上前の投与が一般的である.一方,劇症肝炎では脳死臓器配分において緊急度で最優先されるものの状況によっては不適合生体肝移植による救命が必要となり,決行の判断から実施までの時間は短い.本研究では,成人劇症肝炎不適合肝移植におけるリツキサン投与時期とその有効性を検討した.症例:日本血液型不適合研究会集計では,2011年末までに16歳以上の381例が不適合肝移植を受け,22例が劇症肝炎であった.性別は男性7例・女性15例,年齢は16歳から69歳(中央値43歳),原因疾患は不明18例,自己免疫肝炎2例,Wilson病1例,C型肝炎1例,MELDは14から44(中央値26),抗原血液型A型12例B型10例,ドナーは親7例,子供9例,兄弟姉妹3例,配偶者3例であった.脱感作療法を,持続注入療法(-)・リツキサン(-)群(Base:4例),持続注入療法(+)・リツキサン(-)群(Infusion:12例),持続注入療法(+/-)・リツキサン(+)(Rit: 6例)に分類した.リツキサン投与日は術中が1例,前日3例,前々日1例,4日前1例であった.5例で持続注入を併用し,全例で術前血漿交換を施行した.結果:性別,年齢,MELD,抗ドナー抗体IgMとIgGの術前及び術後ピーク値は3群で差を認めなかった.抗体関連拒絶の頻度はBase:Infusion:Ritの順に,75%:33%:0%(p<0.05),細菌感染症は50%:42%:0%(p=0.059),真菌感染症は,50%:17%:0%(ns),ウイルス感染症は50%:42%:33%(ns),1年生存率は25%:42%:100%(p<0.05)であった.結語:成人劇症肝炎に対する不適合肝移植において,リツキサン予防投与は投与時期に関わらず有効である. |
索引用語 |
劇症肝炎, 血液型不適合肝移植 |