セッション情報 |
ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)
肝疾患におけるGWAS研究と実臨床へのインパクト
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タイトル |
W3-基調講演1:ゲノムワイド関連解析による慢性B型肝炎感受性遺伝子の探索
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演者 |
松田 浩一(東京大医科学研究所・ヒトゲノム解析センター) |
共同演者 |
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抄録 |
HBVキャリアは世界で2億人以上,国内でも100万人以上存在すると推定されており,肝癌の最大の原因ともなっている.一方,HBV暴露後の経過は個人差が大きく,我々は慢性B型肝炎(CHB)の発症に関与する遺伝因子を明らかにするため,ゲノムワイド関連研究を行った.CHB 786サンプル,コントロール2201サンプルを用いたスクリーニングと独立した3集団での追試のの結果,慢性B型肝炎発症とHLA-DP遺伝子多型が強い関連を示す事を明らかとした(rs3077: p=6.34 x10-39, OR =0.57, rs9277535: p=2.31 x 10-38, OR=0.56).さらにHLA-DP以外の疾患感受性領域を同定する目的で,サンプル数を追加した解析を行った結果,HLA-DQ領域近傍のSNP(rs2856718: p=5.98 x 10-28, rs7453920: p=3.99 x 10-37)がHLA-DPと独立して慢性B型肝炎の発症と関連を示すことが明らかとなった.またこれらの4SNPの内リスクアレルを8個持つ人は,2以下の人に比べ慢性B型肝炎の発症リスクが5.27倍高くなった.今回の解析結果により,HLAクラス2分子を介した抗原提示部位の多型がHBV感染の遷延化,慢性B型肝炎の発症に重要な因子であることが示された.本研究はHBV感染に対する生体防御機構の解明につながるだけではなく,慢性肝炎のリスク予測に基づいた個別化医療の実現に結びつくと期待される. |
索引用語 |
慢性B型肝炎, 東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター |