セッション情報 ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)

肝疾患におけるGWAS研究と実臨床へのインパクト

タイトル 肝W3-1:

IL28B SNPはgenotype 2のC型慢性肝炎に対するPEG-IFN/RBV療法のSVR予測因子となりえるか?

演者 野崎 昭人(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センターDELIMITER横浜市立大市民総合医療センター・輸血部)
共同演者 下山 友(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター), 田中 克明(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センターDELIMITER横浜市立大市民総合医療センター・臨床研究推進センター)
抄録 【目的】genotype 2のC型肝炎におけるIL28B SNPの影響については報告が少なく,コンセンサスが得られていない.今回,当センターにおけるPEG-IFN/RBV併用療法を行ったgenotype 2症例について,治療効果予測因子を同定すべく宿主因子及びウイルス側因子の解析を行った.
【対象と方法】2005年より2012年までにPEG-IFN/RBV療法を12週以上行い,SVR判定可能であったgenotype 2高ウイルス量のC型慢性肝炎症例101例を対象とした.宿主側因子として,年齢,性別,BMI,肝線維化,薬剤投与量,IL28B SNP(rs8099917, rs11881222, rs8103142)など,ウイルス側因子としてHCV genotypeについて治療効果に及ぼす影響の解析を行った.
【成績】全101例の内訳は,男性45例,女性56例,平均年齢51歳であり,88例(87.1%)でSVRとなった.IL28B SNP(rs8099917)はメジャーホモが77例,ヘテロが24例であった.genotypeは2aが65例,2bが36例であった.SVRに寄与する因子として,単変量解析にてRVRの有無,IL28B SNPが有意な因子として抽出され,多変量解析でもRVRの有無(オッズ比8.598),IL28B SNP(オッズ比6.491)が有意な因子として抽出された.genotype別の解析では,単変量解析においてgenotype 2aのみでIL28B SNPが有意なSVR予測因子として抽出された.また,RVRの有無とIL28B SNPの間でSVRに及ぼす影響の違いを探るべく,再燃の有無との関係を検討した結果,IL28B SNPのみが単変量解析で有意に再燃の有無に相関することが明らかになった(p=0.017).
【考案】今回の検討により,当センターにおいてPEG-IFN/RBV療法を行ったgenotype 2 のC型慢性肝炎症例においては,RVRの有無同様にIL28B SNPが独立したSVR予測因子として有用であった.また,そのメカニズムとしてIL28Bマイナーアリルでは再燃しやすくなるという可能性が示唆された.
索引用語 IL28B SNP, genotype 2