セッション情報 |
ワークショップ3(肝臓学会・消化器病学会合同)
肝疾患におけるGWAS研究と実臨床へのインパクト
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タイトル |
肝W3-2:Genome wide association study (GWAS)解析によるNAFLDの発症,進展に関わるPNPLA3, SAMM50, PARVB遺伝子の関与
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演者 |
河島 圭吾(横浜労災病院・消化器病センターDELIMITER横浜市立大・消化器内科) |
共同演者 |
米田 正人(横浜市立大・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】nonalcoholic fatty liver disease (NAFLD)は近年遺伝子多型により発症頻度の違いがあることが報告されている.全ゲノム関連解析(genome-wide association studies: GWAS)は多因子疾患の遺伝的原因を網羅的に検索する画期的な手法であり,現在アメリカのNASH-CRN,日本の厚生労働省班会議の検討で,patatin-like phospholipase domain-containing protein 3 (PNPLA3)を疾患関連遺伝子として同定している.今回NAFLD/NASH発症に関わる因子に対しGWASを用いて解析をした.【方法】肝生検で組織評価を行っている372人のNAFLD患者,コントロール934人,ReplicationとしてNAFLD172人(肝生検は101人で施行),コントロール1012人に対して約26万個のSNPをGWAS解析した.コントロール症例の遺伝子データはIMS-JSTのデータベースを使用した.【結果】PNPLA3のrs3810622はNAFLDの発症に最も関与するSNPとして認められた(P=1.3×10-15).年齢,性別,BMIを調節すると,その他SAMM50遺伝子上のrs738491,rs3761472,rs2143571,PARVB遺伝子上のrs6006473,rs5764455,rs6006611もNAFLD発症に強い相関を認めた.Hoploviewを用いた連鎖不均衡分布からこの3つの遺伝子は同一のブロックに存在し,染色体22q13に位置していた.この遺伝子群はAST,ALTおよび肝生検での小葉内炎症,風船様膨化,NASに関与し,また4つの遺伝子は線維化量に強い相関を示した.【結論】現在PNPLA3はNAFLDの発症に関与する遺伝子として多くGWASでのValidationが行われている.SAMM50遺伝子はミトコンドリア機能に影響を及ぼし,PARVB遺伝子はインテグリンに作用し細胞外マトリックスに影響を及ぼすためNAFLDの線維化に影響を及ぼしうることが示唆される.本研究は日本症例におけるValidationとともに,PNPLA3と隣接するSAMM50遺伝子,PARVB遺伝子も関与しNAFLD病態に影響を及ぼすことが示唆された. |
索引用語 |
NAFLD/NASH, GWAS |