セッション情報 ワークショップ5(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸SM癌に対する内視鏡治療の適応拡大

タイトル 内W5-1:

内視鏡切除を施行したIp型大腸SM癌の臨床病理学的検討

演者 福澤 誠克(東京医大・消化器内科)
共同演者 後藤田 卓志(東京医大・消化器内科), 森安 史典(東京医大・消化器内科)
抄録 【目的】内視鏡切除を施行したIp型大腸SM癌の臨床病理学的特徴と臨床成績を検討する.【対象と方法】当院において1998年10月から2012年12月までに内視鏡切除 (追加手術例を含め) を施行したIp型大腸sm癌148例 (男:114, 女:34, 平均年齢63±11歳) 150 病変を対象とし, 占居部位・腫瘍径・優勢組織分化度・浸潤先進部低分化の有無・発育様式 (PG or NPG type) ・SM浸潤度 (head or stalk invasion)・脈管侵襲の有無・摘除断端・簇出の有無・追加腸切除例に対するリンパ節転移の有無について検討した. また治療後の長期成績においては1年以上の経過観察が可能だった症例を対象として再発率について検討した.【結果】占居部位は直腸4病変(2.7%), S状結腸125病変(83.3%) , 下行結腸11病変(7.3%), 横行結腸6病変(4%), 上行結腸4病変(2.7%)だった. 腫瘍径は平均19±6.4mm, 優勢組織分化度は高分化腺癌131病変(87.3%), 中分化腺癌19病変(12.7%), 浸潤先進部で低分化傾向を認めたものは23例(15.3%)であった. 発育様式ではPG typeが141例(94% ), NPG typeは9例(6%)であった. SM浸潤度はhead invasion 99例(66%), stalk invasion 51例(34%): 平均浸潤距離2040±850μmであった. 脈管侵襲はリンパ管侵襲22例(14.7%), 静脈侵襲15例(10%)で, 簇出を18例 (12%)に認めた. 追加手術を施行した55病変の中でリンパ節転移陽性例はstalk invasion (浸潤距離:4100μm) を認めた1例(1.8%)のみであった. また治療後1年以上の経過観察が可能だった症例は59例(内視鏡治癒切除例:40例,内視鏡非治癒切除/追加手術施行例:18例, 内視鏡非治癒切除/追加手術非施行例:1例) に再発は認めていない. (平均観察期間4.5年)【結論】大腸癌治療ガイドライン2010年版の追加手術適応基準に従った場合, Ip型大腸SM癌に対する内視鏡切除は長期経過からみても妥当と考える. しかしリンパ節転移は1.8%のみであり, 今後は更なる症例の蓄積と多数の外科切除例を用いたリンパ節転移率の検討からIp型SM癌の内視鏡切除の適応拡大が必要と考えた.
索引用語 大腸SM癌, Ip