セッション情報 ワークショップ5(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸SM癌に対する内視鏡治療の適応拡大

タイトル 内W5-2:

内視鏡的切除後の大腸SM癌の取り扱い

演者 一政 克朗(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 宮地 英行(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 【目的】大腸SM癌の約10%にリンパ節転移を認めるため,内視鏡的切除されたSM癌は切除標本からリンパ節転移のリスクを予測し追加腸切除の適応を判断しなければならない.今回,外科的切除例におけるリンパ節転移リスクの層別化に焦点を当て,大腸SM癌の取り扱いについて検証した.【方法】対象は2001年4月から2012年6月までに,内視鏡的ないし外科的切除されたSM癌781病変のうち追加腸切除を含む外科的切除された514病変.sm浸潤度分類とSM浸潤距離をともに評価し,脈管侵襲,簇出,先進部組織型,DRの表層への露出,低分化胞巣,粘膜筋板の状態について,リンパ節転移との相関を検討した.粘膜筋板の状態は,MM grade1(既存の筋線維が多く残存するもの)と,MM grade2(筋線維が断片化し不規則に走行するもの)に分けて評価した.【成績】514病変のうち49病変(9.5%)にリンパ節転移を認めた.SM浸潤距離はリンパ節転移の有意なリスク因子とはならなかった.各病理学的因子では,脈管侵襲,簇出grade2/3,先進部muc/por,低分化胞巣,MM grade2が有意に相関し,MM grade1の症例では他因子の有無に関わらずリンパ節転移は認めなかった.MM grade2の463病変のうち,他の有意な因子のいずれかを認めた病変のリンパ節転移率は14.8%,いずれの因子も認めない病変のリンパ節転移率は1.4%であった.【結論】SM浸潤距離はリンパ節転移のリスク因子とはならなかった.大腸SM癌の取り扱いにおいては,先ず粘膜筋版の状態を評価し,MM grade1の症例はリンパ節転移の可能性がほぼないsuper low risk群,MM grade2で他の病理学的因子を認めないlow risk群,MM grade2で他の病理学的因子のいずれかを認めるhigh risk群として,リンパ節転移リスクの層別化を行うことが有用であると考えられた.
索引用語 大腸SM癌, 追加腸切除