抄録 |
【目的】大腸pSM癌における粘膜筋板の状態とリンパ節(LN)転移との関係を検討する.【対象と方法】1993年1月~2012年3月に当院でLN郭清を伴う腸切除を施行した大腸pSM癌322例 (LN転移38例,11.8%)を対象とし, 粘膜筋板の状態を中心にLN転移と病理組織学的所見との関係を検討した.今回, 粘膜筋板の状態をType A:粘膜筋板の走行が同定・推定可能なもの, Type B:間質反応を伴い粘膜筋板の変形を認めるもの, Type C:粘膜筋板が完全に断列しているものに分類した.【結果】LN転移率はType A 0% (0/46), Type B 7.2% (7/97), Type C 17.3%(31/179)で, 3群間に有意差を認めた (P=0.004).Type Aを除く276例の検討では, LN転移率は, 組織型por/muc 41.7% (5/12): tub/pap 12.5% (33/264), ly陽性21.9% (28/128):陰性6.8% (10/148), 簇出Grade 2/3 33.3% (17/51):Grade 1 9.3% (21/225)で, 各々前者は後者より有意に高かったが, SM浸潤度1000μm以上 14.0% (37/264):1000μm未満 8.3% (1/12), v陽性 21.8% (12/55):陰性 11.4% (26/221)に有意差はなかった.多変量解析では, 簇出Grade 2/3 (P<0.001, odds比4.86), 組織型por/muc (P=0.026, odds比4.83), ly陽性 (P<0.001, odds比4.17), 粘膜筋板Type C (P=0.012, odds比3.38)がLN転移の独立した危険因子であった.【まとめ】大腸pSM癌における粘膜筋板の状態はLN転移と密接に関連しており, 粘膜筋板の状態を考慮することで内視鏡摘除後大腸pSM癌のLN転移陰性例をさらに絞り込める可能性がある. |