セッション情報 |
ワークショップ5(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
大腸SM癌に対する内視鏡治療の適応拡大
|
タイトル |
消W5-5:大腸SM癌のリンパ節転移リスク因子に関する臨床病理学的検討
|
演者 |
川崎 啓祐(松山赤十字病院・胃腸センター(消化器科)) |
共同演者 |
蔵原 晃一(松山赤十字病院・胃腸センター(消化器科)), 大城 由美(松山赤十字病院・病理科) |
抄録 |
【目的】大腸SM癌症例のリンパ節転移リスク因子を明らかにすること【方法】当センターにおいて1983年より現在までに外科的切除ないし内視鏡的切除後追加外科切除されリンパ節廓清によるリンパ節転移の評価を行った大腸SM癌262症例を対象とした.(検討1) ROC曲線によるリンパ節転移の指標となる至適SM浸潤実測値の評価.(検討2)臨床像(年齢,性,病変部位,肉眼型)と病理学的因子(SM浸潤度,リンパ管侵襲,静脈侵襲,浸潤部組織型,簇出)とリンパ節転移との関連の検討.【成績】対象262例の内訳は初回外科切除例235例,内視鏡的切除後追加外科切除例27例であり,262例中リンパ節転移陽性例は24例(9.2%)であった.(検討1)262例のSM浸潤実測値の中央値は3000(0-11800)μmであり,ROCでは1400μmでリンパ節転移による分別能が最もよかった.(検討2) 262例をリンパ節転移陽性例24例,陰性例238例にわけ検討すると,単変量解析ではリンパ節転移陽性例は陰性例に比べ有意に女性(陽性例75.0%,陰性例35.7%;p=0.0003)の割合が高く,リンパ管侵襲(陽性例75.0%,陰性例23.5%;p<0.0001)が高度で,浸潤部組織型は低分化型(陽性例8.3%,陰性例0.8%;p=0.0431)が多く,簇出grade 2/3(陽性例50.0%,陰性例22.3%;p=0.0053)が多かった.年齢(65歳以上/65歳未満),病変部位(右側大腸/左側大腸),肉眼型(隆起型/表面型),SM浸潤度(SM1000μm未満/SM1000μm以上),静脈侵襲では差は認めなかった.多変量解析では女性(p=0.0012,オッズ比5.5;95%CI:2.1-16.7),リンパ管侵襲(p<0.0001,オッズ比8.3;95%CI:3.1-25.6)が独立した危険因子であった.【結論】大腸SM癌のリンパ節転移の指標となる至適SM浸潤実測値は1400μmであり,現行の1000μmより緩和できる可能性があり,またリンパ節転移の独立したリスク因子は女性,リンパ管侵襲であり,リンパ管侵襲陰性であれば内視鏡切除のみで厳重な経過観察ができる可能性が示唆された. |
索引用語 |
大腸SM癌, リンパ節転移 |