セッション情報 ワークショップ5(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸SM癌に対する内視鏡治療の適応拡大

タイトル 内W5-8:

大腸SM癌のリンパ節転移リスク―局在別検討―

演者 山田 真善(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科)
共同演者 松田 尚久(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科), 斎藤 豊(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科)
抄録 【目的】大腸SM癌のリンパ節転移リスクに関する局在別検討から,内視鏡治療適応拡大の可能性について検討すること.
【方法】2011年までに当院にて内視鏡的・外科的に切除された肉眼型0-Ip以外の全大腸SM癌1,098病変を対象とした.これらを盲腸~横行結腸の右側結腸群(Rt, 325病変),下行結腸~RSの左側結腸群(Lt, 432病変),上・下部直腸群(Ra/b, 341病変)の3群に分け,臨床病理学的特徴(年齢,性別,腫瘍径,肉眼型,PG/ NPG,組織型,脈管侵襲)について検討を行った.また,外科切除849例(内視鏡摘除後追加手術例を含む)のリンパ節転移率に関しても同様の3群間で検討した.尚,SM浸潤距離の測定は大腸癌取扱い規約に従った.
【成績】年齢はRt群で有意に高く,肉眼型はRt群で表在型が,Lt群で隆起型が多かった.脈管侵襲はRa/b群で有意に高く,SM軽度では3群間に差はなかったが,SM高度ではRa/b群が他2群に比し有意に高かった.また,性別,PG/NPG,組織型,リンパ節転移率で3群間に有意差はなかった.
【結論】SM高度浸潤癌では,リンパ節転移率については直腸と結腸に有意差を認めなかったが,直腸で有意に高い脈管侵襲陽性率を示したことから,直腸における内視鏡治療適応拡大には,長期予後も考慮に入れた慎重な対応が必要である.
索引用語 大腸SM癌, 局在