セッション情報 ワークショップ5(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸SM癌に対する内視鏡治療の適応拡大

タイトル 内W5-12:

長期予後からみた大腸SM癌内視鏡治療の適応拡大の検討

演者 吉井 新二(NTT東日本札幌病院・消化器内科)
共同演者 野島 正寛(東京大医科学研究所・先端医療研究センター), 久須美 貴哉(恵佑会札幌病院・外科)
抄録 【目的】内視鏡治療(ER)後の追加手術(OP)の基準はSM1,000µm以上にまで適応が拡大されたが9割程度はリンパ節転移を認めない為,治療選択に苦慮する場面が少なくない.大腸SM癌の内視鏡治療例の長期成績から内視鏡治療の適応拡大の可能性を検討する.【方法】内視鏡治療後の大腸SM癌389例をretrospectiveに解析した.ガイドラインの根治群,手術適応群に分類し,手術適応群をさらにSM1,000µm以上のみ該当群,SM以外該当群(垂直断端,脈管侵襲,低分化,簇出)に亜分類した.各群の累積再発率をKaplan-Meier法で治療法別(ER単独,ER+OP)に算出し比較検討した.治療法選択のバイアスはpropensity scoreを用いて調整した.【成績】389例の内訳は,根治群113例(ER単独88例,ER+OP25例),手術適応群276例(ER単独96例,ER+OP180例)であった.手術適応群で SM1,000µm以上のみ該当は164例(ER60例,ER+OP104例),SM以外該当は112例(ER36例,ER+OP76例).全症例の平均観察期間69. 3か月で局所再発を16例(粘膜内3,SM以深13),転移を8例(肺5,肝2,リンパ節1)に認めた.根治群の累積再発率はER単独2.3%(局所粘膜内再発1例のみ),ER+OP0%で原癌死は認めなかった.手術適応群はER単独20.1%,ER+OP3.7%でER単独で有意に高くハザード比6.05であった(p=0.002).SM1,000µm以上のみ該当ではER単独3.4%,ER+OP2.3%と両群ともに再発率は低く有意差を認めず(p=0.778),ハザード比も1.34と低かった.SM以外該当群ではERのみで46.0%と高率に再発を認めたが,ER+OPでは2.8%のみ(p<0.001)で,ハザード比12.12であった.【結論】SM1,000µm以上でも他の因子のない症例の再発率は低い.SM浸潤度以外の因子は治療前の診断が困難である為,内視鏡的に一括完全切除可能と判断される病変に対してはtotal biopsyとしての内視鏡治療が容認される可能性が示唆された.
索引用語 大腸SM癌, 内視鏡治療