セッション情報 ワークショップ6(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胆道疾患の診断・治療に有用な画像診断-内視鏡診断から三次元画像診断

タイトル 消W6-1:

胆管狭窄病変の評価におけるMRI-DWI(diffusion-weighted imaging)の有用性

演者 菊山 正隆(静岡県立総合病院・消化器内科)
共同演者 松崎 晋平(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 山田 友世(静岡県立総合病院・消化器内科)
抄録 【背景】良性胆道狭窄は胆管癌に臨床像や画像は近似し,POCS,IDUSなどを用いても容易には鑑別がなされない.ましてや胆道の専門内視鏡医がいない施設での上記の検査は実施しがたいのが現実である.一方で,CTやMRIは標準的な市中病院において客観的画像の得られる実施可能な検査である.我々は,CT画像によるこの両者の鑑別について報告した(IgG4関連硬化性胆管炎の臨床像とCT診断~胆管癌との鑑別診断について~日本消化器病学会雑誌).今回はMRIのDWIによる,胆管狭窄病変の良悪性の鑑別について報告する.【対象・方法】外科治療を含めた病理組織学的に診断の確定した胆管癌群13例,病理組織学的に癌を証明されず2年以上の経過で病状の悪化のないことを確認できた良性胆道狭窄群9例,合計22例を対象とした.胆道ドレナージの実施前にMRI-DWIをb値800sec/mm2にて実施し,胆管病変部においてADC値を計測した.【結果】ADC値は胆管癌群において平均2.90x10-3mm2/s(2.24~3.60 x10-3mm2/s),良性胆道狭窄群において平均1.94 x10-3mm2/s(1.52~2.95 x10-3mm2/s)であった.両者間には有意差を認めた(p=0.004).【考察・結語】MRI-DWIにおけるADC値の測定が,病変の良悪性の鑑別に寄与することが様々な臓器疾患おいて報告されつつある.胆管病変は横断画像においての描出は小さく,ADC値の測定のためのロイの設定が難しいが,他臓器同様にその有用性が示唆された.松崎により報告したCTおける鑑別診断手技と合わせて用いることにより,その有用性はさらに高められる可能性が期待される.
索引用語 胆管癌, MRI