抄録 |
【背景】 第2世代超音波造影剤(Sonazoid)および広帯域EUSを用いることにより, EUSにおいて造影による実質染影が得られるようになった.【目的】胆嚢病変の鑑別診断における造影ハーモニックEUS (CH-EUS) の有用性を検討した.【方法】2010年2月までに, CH-EUSを施行した胆嚢病変98例(男 : 女=52 : 46, 平均年齢61歳)を対象とした.内訳は, 胆嚢癌18例, コレステロールポリープ28例, 胆嚢腺筋腫症14例, 慢性胆嚢炎10例, 胆泥28例である.通常のEUS (FB-EUS) による観察の後, 造影ハーモニックモードに変更し, Sonazoid投与後10-20秒(Vessel image) と40-60秒(Perfusion image) の病変内血流を観察した.Vessel imageとPerfusion imageで得られた所見を基に胆嚢病変を分類し, それぞれの疾患における血流パターンの特徴を評価した.また, 胆嚢癌の診断におけるCH-EUSの感度, 特異度を算出し, 大きさや形態を考慮したFB-EUSの診断能と比較した.【結果】胆嚢病変は, CH-EUSにより1型(no vessels and absent enhancement), 2型(spotty vessels and homogeneous enhancement), 3型(spotty vessels and homogeneous enhancement with focal defects), 4型(linear vessel and heterogeneous enhancement)の4つの血流パターンに分類された.胆泥の全例が1型, コレステロールポリープの96%および慢性胆嚢炎の全例が2型, 胆嚢腺筋腫症の86%が3型, 胆嚢癌の78%が4型の染影パターンを呈した.隆起性病変のうち, spotty vesselやhomogeneous enhancementは良性, linear vesselやheterogeneous enhancementは悪性を示唆する所見と考えられた.CH-EUSは, 胆嚢腺筋腫症におけるRA-sinusを明瞭化した.胆嚢癌に対するFB-EUSの診断能は, 10mm以上の隆起を陽性とした場合, 感度72%, 特異度94%であり, 広基性を陽性とした場合, 感度78%, 特異度88%であった.一方, CH-EUSの診断能は, 4型を陽性とした場合, 感度78%, 特異度98%であり, FB-EUSと比較し特異度が高値であった.【結語】CH-EUSは, 胆嚢病変の鑑別診断に有用な検査になりうると考えられた. |