セッション情報 ワークショップ6(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胆道疾患の診断・治療に有用な画像診断-内視鏡診断から三次元画像診断

タイトル 消W6-3:

悪性胆道疾患の脈管浸潤に対するEUSの有用性の検討

演者 関根 匡成(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科)
共同演者 原 和生(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 清水 泰博(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科)
抄録 【目的】悪性胆道疾患の術前診断には,癌の胆管進展の評価と脈管浸潤の評価が重要である.脈管浸潤の評価は,一般的にDynamic MD-CTがゴールドスタンダードであるが,当センターでは脈管の追従が容易に行えるConvex EUSも併用し術前脈管浸潤の評価を行っている.そこで今回我々は悪性胆道疾患の術前脈管浸潤の評価にConvex EUSが有用か否か検討した.【方法】2008年1月から2012年12月までに悪性胆道疾患と診断され,手術を行った141例中,術前精査にてMD-CT,EUSが共に施行され,病理学的に悪性と診断がついた44例を対象とした.CTはAqilion64列(TOSHIBA),Convex EUSはGF-UCT240,260(Olympus),ProSoundα10(ALOKA)を使用した.MD-CTとConvex EUSの診断能(感度,特異度,PPV,NPV,正診率)について各々検討し,CT診断に対するEUSの上乗せ効果についても検討した.【成績】原発巣の内訳は胆管癌24例(肝門部胆管9例,中部胆管5例,下部胆管10例),胆嚢癌(胆嚢管癌,胆嚢摘出後の遺残を含む)15例,肝内胆管細胞癌3例,悪性リンパ腫1例,胆管癌術後リンパ節再発1例であった.動脈浸潤に対するEUSの感度は100%(2/2),特異度88.1%(37/42),PPV28.6%,NPV100%,正診率88.6%(39/44)であった.門脈浸潤では感度62.5%(5/8),特異度88.9%(32/36),PPV55.6%,NPV91.4%,正診率84.1%(37/44)であった.CTでは動脈浸潤で感度50%(1/2),特異度95.2%(40/42),PPV33.3%,NPV97.6%,正診率93.2%(41/44),門脈浸潤で感度75%(6/8),特異度69.4%(25/36),PPV35.2%,NPV92.6%,正診率70.5%(31/44)であった.CTとEUSを組み合わせた場合,動脈浸潤で感度100%(2/2),門脈浸潤では感度92.9%(13/14)であった.共に合併症は1例も認めなかった.【結論】門脈浸潤の評価においてEUSはCTより有意に優れていた.CT診断にEUS診断を加えることで,動脈浸潤,門脈浸潤ともに有意に感度が上昇した.EUSによる術前脈管浸潤の評価は安全で有用な検査法であり,CT診断に加えて行うべき検査法と考えられた.
索引用語 EUS, 脈管浸潤