セッション情報 ワークショップ6(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胆道疾患の診断・治療に有用な画像診断-内視鏡診断から三次元画像診断

タイトル 消W6-6:

胆道疾患の診断・治療における経口胆道内視鏡の実際 ー直接胆道鏡も含めて

演者 糸川 文英(東京医大・消化器内科)
共同演者 糸井 隆夫(東京医大・消化器内科), 森安 史典(東京医大・消化器内科)
抄録 【目的】ここ10年,本邦から直接胆道造影で診断困難な胆管狭窄や透亮像の診断,さらに胆管癌の表層拡大進展の診断にNBI併用親子式経口電子胆道鏡(PVCS)の有用が数多く報告されてきた.またPVCSは治療においても結石破砕を主として用いられてきた.近年では脆弱で鉗子口径にも制限があるPVCSに替わり.細経内視鏡を直接胆道内へ挿入(PDCS)も試みられている.今回これらPVCSとPDCSの成績について報告する.【方法】PVCSはCHF-B260/BP260を使用し,1.診断困難な胆管狭窄,透亮像144例に対して行なったPVCS多施設検討,2.IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC),PSC,胆管癌のPVCSによる血管構造の多施設検討を行った.また3.プロトタイプ細径胆道鏡によるPDCS41例の診断治療についても検討した.【結果】1,胆道造影所見と生検,PVCSを併せた検討で良悪性の正診率,感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率はそれぞれ98.3%,99.0%,95.8%,99.0%であった.手技に伴う偶発症は膵炎を4例(2.8%),胆管炎6例(4.3%)に認めた.2.IgG4-SCの血管所見は広狭不整を認めない拡張を62%に蛇行血管を69%に認めた.PSCと比べIgG4-SCは拡張蛇行血管を有意に多く認め,瘢痕および偽憩室はPSCに有意に多かった.広狭不整血管は胆管癌でのみ認めた.3.PDCSはフリーハンドで試みた7例すべてで胆管挿入不能であったが,ガイドワイヤーやバルーンカテーテルを併用した34例で88%に目的の部位までの胆管内挿入に成功した.このうち胆管生検,結石切石,ステント抜去,電気的水圧衝撃波を試み88%成功した.【結語】PVCSは対象を直に観察でき直視下で狙撃生検または透視下生検も組み合わせ良悪性の鑑別そしてIgG4-SCやPSCの鑑別また癌との鑑別に対する正診率向上に寄与しうる.PDCSはそれを凌駕する可能性を秘めているが手技確立のために今後さらなる処置具と機器の開発が期待される.
索引用語 経口胆道鏡, 直接胆道鏡