セッション情報 ワークショップ6(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胆道疾患の診断・治療に有用な画像診断-内視鏡診断から三次元画像診断

タイトル 内W6-7追:

乳頭括約筋切開術を行わないTrans-catheter biliary endoscopyの有用性の検討

演者 坂本 洋城(近畿大・消化器内科)
共同演者 北野 雅之(近畿大・消化器内科), 工藤 正俊(近畿大・消化器内科)
抄録 【目的】胆道疾患診断において,経口胆道鏡(peroral cholangioscopy: POCS)は,胆管癌の水平進展度や良悪性の鑑別診断に有用であるが,POCS用シースの口径が大きく,POCS処置後の膵炎を予防するため,乳頭括約筋切開(EST)などの乳頭処置が行うことが一般的である.近年,超細径の胆道ファイバースコープ(Spyglass:長径0.77mm)が開発された.今回我々は,ERCP時に使用する造影カテーテル内にこの超細径の胆道ファイバースコープ(Spyglass)を挿入させて胆管内を観察するTrans-catheter endoscopy; TCE法による胆道疾患診断の有用性と安全性について検討した【方法】ERCPまたはMRCPにて透亮像および狭窄などの異常所見を有する15例の胆道病変を対象とした.胆管膵管造影チューブ(タンデム:ボストン社製)を胆管造影およびTCE法のシースとして用いた.胆管内にタンデムチューブを挿入した後,生食による胆管内の洗浄を行う.次いで,Spyglassをガイドワイヤー(GW)ルーメンより挿入し,胆道内を観察した.胆管画像は録画され,後日2人の読影者により“good”, “fair” または“poor” の三段階に評価された.また,タンデムチューブによる胆管内洗浄から観察終了までの施行時間を測定した.【成績】最終診断は胆管癌9例,IPNB1例,胆管内ポリープ1例,胆管内出血1例,胆管内金属ステント留置後の狭窄2例および胆管内小結石2例であった.15例全例においてTCE法による胆管観察を行う際にESTは不要であった.胆管画像評価では“good”, “fair” または“poor”がそれぞれ4例(27%),5例(30%)および6例(43%)であった.平均の施行時間は6分15秒(12分33秒~2分48秒)であった.TCE法関連の膵炎,胆管炎などの偶発症は認めなかった.【結語】TCE法は従来のERCP胆道造影カテーテルを用いるためESTが不要であり,処置時間も短く安全で,胆道病変の診断に有用であると示唆された.
索引用語 POCS, 胆道鏡