セッション情報 ワークショップ6(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胆道疾患の診断・治療に有用な画像診断-内視鏡診断から三次元画像診断

タイトル 内W6-9:

当院における胆管狭窄に対する経乳頭的胆管生検の検討

演者 金森 明(大垣市民病院・消化器内科)
共同演者 熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 桐山 勢生(大垣市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】経乳頭的胆管生検はERCP施行時に生検鉗子を用いる狙撃生検であり,超音波内視鏡下穿刺生検法が行われる現在においても,播腫の危険性がないことより術前診断にも施行可能で,引き続きドレナージが可能であるなど手技の利点も多い.ただしERCP下で行われるため急性膵炎が最も危惧される偶発症として挙げられる.今回我々は経乳頭的胆管生検の成績および偶発症に関して検討を行った.【対象,方法】対象は2005年2月以降に経乳頭的胆管生検を施行した112症例.男:女72:40,年齢は中央値で73歳(25-89歳).悪性胆道狭窄92例(膵臓癌28例,胆管癌48例,胆嚢および胆嚢管癌12例,転移性リンパ節4例)良性胆管狭窄15例(PSC4例,IgG4関連疾患2例,非特異的炎症9例)であった.悪性胆道狭窄例は手術例は最終病理診断,非手術例は生検結果と画像診断で診断し,良性胆道狭窄例は6カ月以上臨床経過が観察可能で悪性疾患が否定されたものとした.膵炎の定義はcottonのcriteria に準じて判断し高AMY血症は検査24時間後の血清AMY値が2倍以上のものと定義した.生検の良悪性の診断能および偶発症につき後ろ向きに検討を行った.症例に応じてENBD tubeを留置した.その際に60症例で細胞診を採取し,細胞診併用による上乗せ効果についても検討した.【成績】生検回数は中央値で3回(1-6回),検体採取率は88.4%(92/112例)であった.ITT解析での経乳頭的胆管生検の悪性胆道疾患に対する感度,特異度,正診率は各々68.5% ,100%,73.2%であった.偶発症として生検に伴う穿孔,出血は1例も認めなかった.高AMY血症を20.5 %(23/112),膵炎を9.8%(11/112)に認めた.うち中等度の膵炎は2例認めた.胆管生検で診断しえなかった3症例が細胞診で癌と診断され,正診率は75.2%となった.また胆管生検において正診できている症例の生検回数と感度の関係は1回目68.9%,2回目89.7%,3回目で100%となった.【結論】経乳頭的胆管生検は検体が採取できていた場合の成績は良好であり3回の生検で正診が得られた.偶発症として膵炎が9.8 %にみられた.
索引用語 胆管生検, 診断