セッション情報 ワークショップ6(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胆道疾患の診断・治療に有用な画像診断-内視鏡診断から三次元画像診断

タイトル 消W6-10追:

Optical Coherence Tomographyによる胆道癌の水平方向進展度診断の可能性

演者 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター・消化器科)
共同演者 虻江 誠(宮城県立がんセンター・消化器科), 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター・消化器科)
抄録 【背景・目的】近年,光の干渉現象を利用して微細な断層像を得るOptical Coherence Tomography(OCT)が開発された.OCTは管腔内超音波検査法(IDUS)の10倍,300MHzに相当する空間分解能を持ち眼科,循環器領域では既に実用化されている.今回OCTを用いて胆道癌の水平方向進展度診断に関してその有用性について検討した.【対象・方法】2008年8月から2011年6月までにOCTを施行した手術症例は24例で,このうち胆管癌9例,胆嚢癌1例,乳頭部癌4例の計14例の胆道癌を対象にした.検討切除切片は合計65切片で内訳は粘膜脱落20切片,正常上皮22切片,癌粘膜表層進展9切片,癌壁内進展12切片であった.これらを用いて観察したOCT像を,水浸下IDUS像,病理組織標本と比較検討した.さらにEndoscopicOCT像,3D構築像の検討も行った.【結果】正常胆管壁は一層の粘膜上皮,線維筋層結合組織,漿膜下層線維組織,漿膜下層脂肪組織,膵腺房組織と,それぞれが明瞭に区別され描出された.胆管上皮の有無の判定は94.1%で可能であった.正常粘膜では最内層の高輝度層の最外側寄りにより強い点状~線状の高輝度の部分を認め,極性の保たれた細胞核と考えられた.この所見を正常胆管上皮とし,最内側全体の輝度の上昇を粘膜表層進展と仮定すると,正診率は93.5%,感度100%,特異度90.9%であった.壁内進展は直接癌性腺管を描出することにより全例で正診できた.IDUSでは粘膜表層進展,壁内進展ともに炎症性肥厚との鑑別は困難であった.3Dでは実体顕微鏡に類似した表面の微細な画像が得られ,また長軸方向の構築と任意の断面での垂直方向の断面像を得ることが可能であることより,表層進展を含む水平方向進展度診断に有用と考えられ外科的切除線の決定に有用であった.【結論】OCTではoptical biopsyといわれるようにほぼルーペ像同様の画像が得ることができる.このためOCTでは壁内浸潤のみならず粘膜表層進展も診断できる可能性が示唆され今後胆道癌の水平方向進展度診断に大きく貢献できる可能性が考えられた.
索引用語 OCT, 胆道癌