セッション情報 ワークショップ7(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

肝胆膵疾患と糖・脂質代謝異常

タイトル 肝W7-1:

慢性肝疾患の肥満・生活習慣病の合併に関する検討―非アルコール性脂肪性肝疾患を中心に―

演者 戸張 真紀(東京女子医大・消化器内科)
共同演者 谷合 麻紀子(東京女子医大・消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医大・消化器内科)
抄録 【目的】慢性肝疾患における肥満・生活習慣病の実態や病態への影響を明らかにすることを目的とした.【対象と方法】対象は2003年~2013年2月に当科に初回入院し,臨床病理学的に診断した慢性肝障害1889例[B型肝炎ウイルス関連(B)156例,C型肝炎ウイルス関連(C)855例,PBC148例,アルコール性(ALD)213例,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD) 517例]である.原因肝疾患別に肥満(BMI>25),糖尿病(DM),脂質異常症(DL),高血圧症(HT)の頻度を検討した.NAFLD例に関しては線維化軽度例と線維化進展例に分けて合併率を検討し,耐糖能に関して詳細に検討した.【成績】<疾患別>B型;年齢中央値55歳,女性31%/C型;68歳,40%/PBC;60歳,84%/ALD;58歳,16%/NAFLD;52歳,56%で,性・年齢に差を認めた.疾患別各合併率は,肥満;B26%/C26%/PBC12%/ALD29%/NAFLD67%,DM;B7%/C24%/PBC9%/ALD33%/NAFLD51%,DL;B12%/C4%/PBC18%/ALD27%/NAFLD69%,HT;B14%/C32%/PBC17%/ALD29%/NAFLD50%で,いずれも疾患間で有意差を認め,全てNAFLDで高率であった.<NAFLD>線維化軽度例274例(年齢43歳,女性37%)と線維化進展例243例(58歳,53%)で,肥満63%/72%,DM42%/67%,DL70%/68%,HT38%/64%であり,線維化進展例は高齢で,女性の比率,肥満,DM,HT合併率が高率であった.NAFLDのうち入院時までDMの診断基準を満たさなかった269例中117例で75gOGTTが施行され,正常型46%,境界型39%,糖尿病型15%,HOMA-IRは214例で測定され,1.6未満の正常例は21%,2.5以上の明らかなインスリン抵抗性を有する例が54%であった.【結論】肥満,生活習慣病の合併率は原因肝疾患別に異なり,全てNAFLDで高率であった.NAFLDの線維化進展例は高齢で,女性,肥満,DM,HT合併が高率であり,病態との関与が示唆された.NAFLDでは糖尿病の診断を満たさない症例でも高率に耐糖能障害を合併していた.
索引用語 生活習慣病, NAFLD