セッション情報 |
ワークショップ7(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
肝胆膵疾患と糖・脂質代謝異常
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タイトル |
肝W7-2:NAFLD患者におけるリポ蛋白粒子サイズの検討
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演者 |
古賀 浩徳(久留米大・消化器内科DELIMITER久留米大先端癌治療研究センター・肝癌部門) |
共同演者 |
上野 隆登(朝倉医師会病院), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科DELIMITER久留米大先端癌治療研究センター・肝癌部門) |
抄録 |
【背景】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は,2型糖尿病,高血圧症,脂質異常症を多く合併し,放置すれば予後不良な病態へと進行しうる憂慮すべき疾患である.近年,NAFLDに伴う糖代謝異常への理解と啓蒙はある程度進んだが,脂質代謝異常に関しては十分とは言えない.一方,日常臨床においてはLDL-cholesterol (C)/HDL-C比(L/H比)が,心血管イベントの発生リスク予知に用いられているが,実際には粒子サイズの小さい「small dense (sd) LDL」が動脈硬化の主因であることが明らかになっている.したがって,NAFLDにおいてもsd LDLの評価をおこなうことが治療学的見地から重要となる.これまでsd LDLの測定は困難であったが,近年,岡崎らはHPLCによる精密測定法を確立した(Arterioscler Thromb Vasc Biol 2005).【目的】NAFLDにおけるsd LDL,とりわけsd LDL-Cの動態について検討する.【方法】BMI 25以上で画像上NAFLDと診断され,かつ脂質(コレステロール)異常症を合併した患者の血清を用い,LipoSEARCH法(岡崎ら)によってLDL-C,HDL-C,sd LDL-Cを測定する.【結果】現在までに6名のNAFLD患者の食事・運動療法前後の脂質プロファイル比較が可能であった.うち3名は食事・運動療法のみで肝機能が改善し画像的にも脂肪肝が改善したが,sd LDL-Cが逆に59.6%も上昇する例もあり,脂質プロファイルは必ずしも改善していなかった.一方,食事・運動療法に抵抗性の残り3名に対し,rosuvastatin 2.5 mg/body/dayを投与したところ,すべてsd LDL-C値は低下した.【結語】NAFLD患者における脂質管理においては,単にBMIや総コレステロール値,脂肪肝の改善を達成するだけでは不十分で,潜在的な心血管リスクを減らすためにLDL-Cやsd LDL-Cの動きに留意することが大切である.また,スタチンはsd LDL-Cの低減に有効と考えられた. |
索引用語 |
NAFLD, LDL |