セッション情報 | ワークショップ7(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会合同)肝胆膵疾患と糖・脂質代謝異常 |
---|---|
タイトル | 肝W7-6:自己免疫性肝炎と原発性胆汁性肝硬変における糖尿病の頻度と管理 |
演者 | 松本 直樹(日本大・消化器肝臓内科) |
共同演者 | 小川 眞広(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科) |
抄録 | 【目的】慢性肝疾患において糖尿病は比較的頻度の高い合併症であり,非アルコール性脂肪性肝疾患,C型慢性肝炎,B型慢性肝炎などでは詳細な検討がされている.糖尿病の発症において肝線維化進展の関与も報告されており,その他の慢性肝疾患でも経験される.自己免疫性肝炎(AIH)はプレドニゾロン(PSL)の使用,原発性胆汁性肝硬変(PBC)は高脂血症の合併と,糖尿病と関連する因子があるにも関わらず報告は少ない.今回,AIH,PBCでの糖尿病合併とその管理について報告する. 【方法】対象は当施設で過去25年間に診療を行ったAIHの168例,PBCの90例.初診時年齢はAIHで平均55歳(11~81歳),平均観察期間は8.4年.PBCで平均57歳(30~77歳),平均観察期間は9.4年.検討項目は1. 糖尿病の頻度,2. 経過中の糖尿病発症率,3. 糖尿病合併の危険因子,4. 治療内容. 【成績】1. AIHでは糖尿病は33例(19.6%)に見られた.PSLを内服していないAIH例は82例で,8例(9.8%)に糖尿病が見られた.PBCでは糖尿病は7例(7.8%)に見られた.糖尿病合併はAIHに多かった(P=0.0274)が,PSL内服を除外すると差が無かった(P=0.4925).2. 経過観察中の糖尿病発症はAIHでは16例で年率1.2%だった.PBCでは1例のみで,年率0.1%だった.3. AIHの糖尿病合併の危険因子は年齢(50歳以上) (OR 13.278, P=0.0034),肝硬変(OR 9.969, P=0.0009),PSL使用(OR 4.660, P=0.0022)だった.4. 治療成績はAIHvsPBCで空腹時血糖129vs141mg/dl(P=0.3830),HbA1c(NGSP)6.4vs7.2% (P=0.1011)で,インスリン使用は3例(9.1%)vs4例(57.1%)であり,PBCの方がコントロール困難の傾向だった. 【結論】AIHでは加齢,肝線維化進展,PSLが糖尿病の危険因子だったが,PBCでは糖尿病例が少なく,危険因子は明らかでなかった.両疾患ともPSLの影響を除けば糖尿病合併率は同等だったが,PBCでは治療困難な症例が見られた. |
索引用語 | 自己免疫性肝疾患, 糖尿病 |