セッション情報 | ワークショップ7(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会合同)肝胆膵疾患と糖・脂質代謝異常 |
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タイトル | 消W7-11:全国調査からみた急性膵炎における耐糖能障害 |
演者 | 菊田 和宏(東北大大学院・消化器病態学) |
共同演者 | 正宗 淳(東北大大学院・消化器病態学), 下瀬川 徹(東北大大学院・消化器病態学) |
抄録 | 【目的】膵内分泌障害により糖尿病(DM)をきたすことは知られているが,急性膵炎(AP)における耐糖能障害については不明な点が少なくない.APにおける高血糖は厚生労働省旧基準やRansonスコア等で予後因子とされるが,患者背景により予後因子としての重みが異なる可能性がある.APと耐糖能障害の関連を明らかにするために,全国調査で得られたデータに基づいて疫学的検討を行った. 【方法】2007年1年間に受療した患者を対象に行われた厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班の急性膵炎,重症急性膵炎の全国調査で集積された2256例を対象とした.患者背景,発症24時間以内の血糖値,DM合併の有無,成因,CT所見,予後の相関を検討した. 【成績】AP患者の12.8%がDMを合併していた.成因別のDM合併頻度はアルコール性15.6%,胆石性10.8%,特発性10.7%であった.AP関連死はDM非合併APでは1.7%であったが,DM合併APでは3.8%で相対リスクは2.30倍(95%信頼区間1.10-4.83)であった.発症24時間以内の血糖値が200mg/dl未満の患者の22.7%に,200mg/dl以上では35.5%に膵造影不良域を認め,AP関連死頻度は200mg/dl未満の1.1%,200mg/dl以上の3.3%で相対リスクは2.85倍(95%信頼区間0.99-8.24)であった.成因別AP 関連死頻度はアルコール性では200mg/dl未満で1.1%,200mg/dl以上で0%であったが,胆石性ではそれぞれ0.4%,4.9%,特発性では2.0%,12.0%であり,成因による違いを認めた.DM非合併APの20.2%にその後DMが出現し,膵の造影不良域が広いほど出現頻度が高くなる傾向を認めた. 【結論】APにおける高血糖は予後因子であるが,成因により予後との相関に違いがあり,特に特発性において重要な因子と考えられた.またAPにおける耐糖能障害と膵造影不良域の関連が示唆された. |
索引用語 | 急性膵炎, 耐糖能障害 |