抄録 |
【目的】近年,膵頭切除は安全に行われるようになったが,術後体重減少や糖尿病などの遠隔時合併症を認める症例がある.一方,低悪性度の腫瘍に対して,根治性と機能温存のバランスを考慮した臓器温存術式が開発されてきている.そこで,膵頭切除術後各種術式別に消化吸収の代謝を把握するため,13C-Trioctanoinによる呼気試験を用い,機能温存術式の有用性について検討した.【対象,方法】PD(胃切除を伴う膵頭十二指腸切除)12例,PPPD(幽門輪温存膵頭十二指腸切除術)20例,SSPPD(亜全胃温存膵頭十二指腸切除術)45例,DPPHR(十二指腸温存膵頭切除術)10例を対象とした.なお,健常者であるボランティア10人をコントロール群とした.ラコール200kcalと生クリーム(脂肪分47%,35ml,脂肪負荷20g,355kcal)に中鎖脂肪である13C-Trioctanoinを100mgを添加し,経時的に呼気を採取し,呼気ガス分析装置を用い測定した.AUC-Tmax,AUC240を評価項目とした.また,各術式別に術前後の消化吸収能を比較検討した.さらに摘出標本から膵線維化程度別に分類し,術式別の脂肪消化吸収能についても検討した.【結果】DPPHRと健常人は有意差を認めなかった.PD,PPPD,SSPPDは健常人より吸収能は低下していた.術式別の術前・後ではDPPHRは吸収能の低下を認めなかったが,PD,PPPD,SSPPDは有意に低下し.なかでもPDは著明に低下していた.線維化程度別でもDPPHRはほかの術式に比べ高度線維化例以外は有意に吸収能が良好であった.【考察】DPPHRは胆嚢,胆管,全十二指腸が温存され,消化管の連続性が保たれるため良好な消化吸収能を呈すると考えられた.十二指腸から分泌される消化管ホルモンの代謝が関与していることが示唆された. |