セッション情報 ワークショップ8(肝臓学会・消化器病学会合同)

ASH/NASH肝癌の臨床像とフォローアップ体制の確立

タイトル 肝W8-1:

アルコール性肝癌の臨床像の特徴

演者 後藤 隆(秋田大・消化器内科)
共同演者 小松 眞史(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科), 大西 洋英(秋田大・消化器内科)
抄録 【目的】国税庁の統計によれば,酒類消費量は全国的に減少傾向にあるものの,秋田県の成人1人あたりの年間酒類消費量は全国平均を10L以上も上回り,肝硬変の成因に占めるアルコール性の割合は20%以上,肝癌の成因に占めるアルコール性の割合も10%以上と高率である.そこで秋田県のアルコール性肝細胞癌(ASH肝癌)の特徴ついて非アルコール性脂肪肝炎関連肝癌(NASH肝癌)と比較しその特徴について検討した.【方法】当科及び関連病院で診断されたASH肝癌91例とNASH肝癌26例を比較した.(診断は,第15回日本肝臓学会大会:我が国における非B非C肝硬変の実態調査診断基準に準じた.)性比, 平均年齢,静脈瘤合併率について検討した.また,ASH肝硬変と肝癌について1日飲酒量,飲酒期間,100%エタノール換算積算飲酒量について比較した.【成績】ASH肝癌91例のうち男性83例,女性8例,平均年齢63.2歳,静脈瘤合併率38.6であった.NASH肝癌26例は男性12例,女性14例,平均年齢70.8歳,静脈瘤合併率56%であった.ASH肝硬変の一日飲酒量は121.1g,飲酒期間は35.7年,100%エタノール換算積算飲酒量は1.46tで,ASH肝癌の一日飲酒量は111.7g,飲酒期間は42.6年,積算飲酒量は1.66tであった.【結論】ASH肝癌はNASH肝癌に比較し,若年男性に多い傾向があった.ASH肝癌は,一日飲酒量が100g以上でかつ飲酒期間が40年以上と長期であった.ASH肝癌を含めたアルコール性肝障害の予防には適切な飲酒量の啓蒙とアルコール性肝障害と診断されてからの断酒の重要性が示唆された.秋田県ではこれまでの統計資料をもとに平成25年制定の秋田県肝炎対策推進計画(5カ年計画)にウイルス性肝炎のみならずアルコール性肝障害対策を「取り組むべき施策」に盛り込み,行政と連携したアルコールに起因する健康問題の対策を行っていく予定である.
索引用語 ASH, NASH