セッション情報 | ワークショップ8(肝臓学会・消化器病学会合同)ASH/NASH肝癌の臨床像とフォローアップ体制の確立 |
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タイトル | 肝W8-4:ASH/NASH関連肝癌の治療前後の飲酒量別予後の検討 |
演者 | 岩堂 昭太(広島市民病院・内科) |
共同演者 | 宮武 宏和(広島市民病院・内科), 小林 功幸(広島市民病院・内科) |
抄録 | 【目的】近年非B非C型肝癌の増加が報告され,アルコール関連発癌も報告されているが,治療前後飲酒量の予後因子・再発危険因子の報告は少ない.今回我々は,ASH/NASH関連肝細胞癌の予後と再発について,治療前後飲酒量の影響を検討した. 【方法】肝癌データベース(1518例)から,当院初回治療肝細胞癌症例,HBs抗原陰性,HCV抗体陰性で,潜在性B型肝炎と代謝性肝疾患などを除外し,治療後飲酒歴が確認できた症例(216例:14%)を抽出した.1日アルコール摂取量別に,NAFLD関連肝細胞癌(以下NAFLD群):20g未満,中間型肝細胞癌(以下中間群):20g以上70g未満,アルコール関連肝細胞癌(以下ASH群):70g以上の3群に分類し,NAFLD群は,画像的または病理学的脂肪化を有する症例とした.また,治療後飲酒は禁酒群と飲酒群に分類した.生存率と再発率(根治治療:肝切除+凝固療法:106例)について,全症例および群別に,治療後飲酒別に解析を行い,有意差を認めた群で再発危険因子解析を行った. 【成績】飲酒量別3群の背景比較行うと,中間群は,NAFLD群と同様に年齢が高く,ASH群と同様に男性が多く,γGTP高値で,背景肝組織に肝硬変例が多く,喫煙歴が高く,治療後禁酒例が少ない特徴を認めた.全生存率は,3年72%,5年64%だった.全症例における治療後飲酒量別検討では生存率の差を認めず (p=0.69),また,NAFLD群/中間群/ASH群における治療後飲酒量別にも生存率の差を認めなかった.(p=0.51/0.55/0.98) 全症例の再発率は,3年53%,5年72%だった.全症例における治療後飲酒量別では禁酒群で再発率が低い傾向が認められた(p=0.078).NAFLD群/中間群/ASH群別では,中間群における治療後禁酒群で有意に再発率が低下していた(p=0.04)がASH群では有意差は認めなかった(P=0.89).中間群での再発危険因子は,治療後飲酒(RR=2.98,95%C.I.:1.06-10.5,p=0.038)であった. 【結語】ASH/NASH関連肝癌の治療前後の飲酒量別予後の検討では,根治治療後禁酒群で再発率が低い傾向が認められ,特に中間群(少量飲酒群)では再発率の低下を認めた. |
索引用語 | 肝細胞癌, 禁酒 |