セッション情報 |
ワークショップ8(肝臓学会・消化器病学会合同)
ASH/NASH肝癌の臨床像とフォローアップ体制の確立
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タイトル |
肝W8-5:当科におけるASH/NASH肝癌の臨床的特徴
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演者 |
吉丸 洋子(熊本大大学院・消化器内科学) |
共同演者 |
田中 基彦(熊本大大学院・消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【目的・方法】2003年1月から2012年12月の当科初回肝細胞癌治療例836例のうち,ASH肝癌(以下ASH),NASH肝癌(以下NASH)および背景肝疾患の明らかでない原因不明肝癌(以下原因不明)の臨床的特徴を比較検討した.【結果】836例の内訳は,HBV肝癌 132例,HCV肝癌 549例,HBV+HCV肝癌 13例,ASH 64例(7.6%),NASH 16例(1.9%),原因不明49例(5.8%),その他 13例であった.ASH,NASH,原因不明の割合は,2008年までの5年間で,それぞれ0.8%,4.3%,4.3%,2008年以降で2.8%,10.3%,7.1%と増加傾向にあった.平均年齢および男性の割合は,ASHで68.3歳,90.6%,NASHで70.1歳,56.2%,原因不明で72.6歳,55.1%と,ASHは原因不明より有意に若年であり,NASH,原因不明より男性の割合が高かった.糖尿病,高血圧,脂質異常症の合併率はそれぞれASHでは48.4%,37.5%,12.5%,NASHでは56.2%,50.0%,25.0%,原因不明では36.7%,42.8%,0.0%と,NASHで高い傾向を認めたが有意差はなかった.BMIはNASHがASHと原因不明より有意に高かった.血液検査値においては,Alb値が原因不明でASH,NASHより高かったほかは,有意差はなかった.また,肝予備能,肝癌の進行度,最大腫瘍径,HBc抗体陽性率,予後に有意差は認めなかった.【考察】今回の検討ではASH/NASH肝癌の臨床像に差異はほとんど認めなかった.NASHにおいては,糖尿病,高血圧,脂質異常などの生活習慣病との関連が示唆されているが,ASHや原因不明例における糖尿病合併率は,当科でのHCV肝癌の糖尿病合併率(27.3%)と比べても高値であった.以前から糖尿病が肝発癌の危険因子であることは指摘されており,今回の検討でもそれを確認する結果となった.NASHに限らず非B非C肝疾患では,肝発癌の可能性を念頭においたスクリーニングにて早期発見に努める必要があると考えられた. |
索引用語 |
ASH, NASH |