セッション情報 ワークショップ8(肝臓学会・消化器病学会合同)

ASH/NASH肝癌の臨床像とフォローアップ体制の確立

タイトル 肝W8-9:

NAFLD/ALD肝癌の臨床病理学的特徴と予後

演者 木村 岳史(信州大・消化器内科)
共同演者 田中 榮司(信州大・消化器内科), 宮川 眞一(信州大・消化器外科)
抄録 [目的]NAFLD/ALD関連HCC切除例の臨床病理学的特徴と予後を比較する.[方法]1997-2012年に長野県内で肝切除術を施行された非B非C型の初発HCC症例76例からNAFLD関連HCC(NAFLD群)27例とALD関連HCC(ALD群)25例を抽出し臨床的背景,癌部・非癌部の病理学的特徴,予後を比較検討した.抽出基準はNAFLD群:1)非癌部に10%以上の脂肪沈着,2)エタノール摂取量20g/日以下,ALD群:1)エタノール摂取量66g/日以上.両群ともHCVAb/HBsAg/cAb/sAbが全て陰性であることを確認し,自己免疫性肝疾患・代謝性肝疾患を除外した.[成績]NAFLD群は93%が男性.年齢の中央値は71歳.BMIは25.DM/HT/HLの合併率は82/59/30%.診断契機は検診などで偶然/経過観察中が37/7%.PLT/ChE/HbA1C/FBS/TC/TG:16/282/6.5/127/186/131.Child-Pugh5点.TNM(UICC)I/II/IIIは60/26/15%.腫瘍多発30%.腫瘍径4cm.被膜形成/被膜浸潤/脈管浸潤は59/31/15%.高/中/低分化は19/68/16%.非癌部のNAS1/2/3/4/5/6は1/40/16/12/20/8%.肝硬変合併率33%.1/3/5/7年再発率は0.22/0.61/0.61/0.66,生存率は0.96/0.83/0.73/0.65.ALD群は全例男性.年齢は68歳.BMIは22.DM/HT/HLの合併率は28/52/4%.診断契機は検診などで偶然/経過観察中が19/44%.PLT/ChE/HbA1C/FBS/TC/TG:13/148/5.6/97/150/78.Child-Pugh5点.TNM I/II/IIIは56/36/8%.腫瘍多発40%.腫瘍径2.3cm.被膜形成/被膜浸潤/脈管浸潤は76/44/16%.高/中/低分化は13/65/22%.NAS0/1/2/3/4/5は33/21/13/25/4/4%.肝硬変合併率68%.1/3/5/7年再発率は0.12/0.49/0.67/0.67,生存率は0.96/0.88/0.82/0.66.2群を比較するとNAFLD群ではBMI/DM・HL合併率/診断契機が検診/PLT/ChE/HbA1c/FBS/TC/TG/腫瘍径/NASが有意に高く,肝硬変合併率は低かった.再発率・生存率は両群で差を認めなかった.[結論]両群とも男性が大多数を占めた.NAFLD群ではNASHと診断できない症例も存在し,肥満/DM/HLの合併率や非肝硬変率が有意に高かった.また検診などで偶然発見される症例が多く,腫瘍径が大きかったが,予後は両群で差を認めなかった.
索引用語 NAFLD, HCC