セッション情報 |
ワークショップ8(肝臓学会・消化器病学会合同)
ASH/NASH肝癌の臨床像とフォローアップ体制の確立
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タイトル |
肝W8-12:我が国におけるASH/NASH肝癌の実態 ―非B非C肝硬変の全国集計調査より―
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演者 |
鈴木 康秋(名寄市立総合病院・消化器内科) |
共同演者 |
大竹 孝明(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 高後 裕(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科) |
抄録 |
【はじめに】第15回日本肝臓学会大会の特別企画「我が国における非B非C肝硬変の実態調査」において,6.999例の非B非C肝硬変が集計され,2.438例(35.9%)に肝癌合併を認めた.今回,アルコール性肝癌,NASH肝癌,mild drinkerの脂肪性肝硬変(以下FLD)合併肝癌について解析をおこなった.【対象・方法】非B非C肝硬変中,アルコール性3.856例(55.1%),NASH 1.015例(14.5%),FLD 173例(2.5%)について,発癌例の頻度,年齢,男女比,BMI,肝予備能,血小板数,HBc抗体陽性率を検討した.また,アルコール性肝硬変においては,発癌危険因子について多変量解析をおこなった.【結果】1,肝発癌率は,アルコール性 34.3%,NASH 50.9%,FLD 54.5%で,NASHとFLDの発癌率はアルコール性より高かった(p<0.01).2,発癌例の発症時平均年齢は,アルコール性64.8歳,NASH 70.8歳,FLD 68.4歳で,アルコール性肝癌の発症年齢は,NASHより低かった(p<0.01).3,男女比は,アルコール性19.05,NASH 1.06,脂肪性17.20で,脂肪性とアルコール性は男性の比率が高かった(p<0.01).4,平均BMIは,アルコール性24.0,NASH 26.8,脂肪性25.8で,NASHと脂肪性はアルコール性より高かった(p<0.01).5,肝予備能,血小板数は有意差を認めなかった.6,HBc抗体陽性率は,アルコール性 36.6%,NASH 41.7%,FLD 43.3%で有意差を認めなかった.7,アルコール性の肝発癌に関する単変量解析では,男性,高齢,BMI高値,HT, DL, DM合併,肝予備能良,門亢症なしが危険因子として抽出され,Cox比例ハザードモデルで,男性,高齢以外ではBMI高値,DM合併,門亢症なしが因子として残った.【まとめ】NASHやmild drinkerの肝硬変は肝発癌率が高く,肥満やDM合併はアルコール性肝硬変においても肝発癌リスクになることが明らかになった.従って,NASHのみならず,アルコール性やmild drinkerの肝硬変においても,肥満やDMに対する早期からの治療介入が必要と考えられる. |
索引用語 |
NASH, 肝癌 |