セッション情報 ワークショップ9(肝臓学会・消化器病学会合同)

自己免疫性肝胆疾患の非定型例に対する対応と課題

タイトル 肝W9-5:

AIHとNASHの鑑別における問題点

演者 高橋 敦史(福島県立医大附属病院・消化器内科)
共同演者 阿部 和道(福島県立医大附属病院・消化器内科), 大平 弘正(福島県立医大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】抗核抗体(ANA)陽性の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は改訂版自己免疫性肝炎(AIH)診断基準でほとんどが疑診以上となり,病理学的にAIHとNASHの鑑別が困難な場合がある.本検討では,AIHとNASHの鑑別における問題点を明らかにすることを目的とした.【方法】<1>NASHと診断された63例を対象とし,ANA陽性(80倍以上)及びAIHとのオーバーラップの頻度とオーバーラップ症例の診断における改訂版と簡易版AIHスコアの有用性について検討した.<2>当初,AIHと診断されたうち病理組織学的に再評価できた43例を対象に,NASHやNASHとのオーバーラップが考えられた症例の頻度及び血液・肝組織学的特徴について検討した.【成績】<1>NASH63例中,ANAは21例(33.3%)で陽性であった.このうちAIHとのオーバーラップは3例(4.8%)であった.ANA陽性21例のAIHスコアは,疑診が改訂版では15例(71.4%)に対し,簡易版では8例(38.1%)と簡易版スコアで有意に低率であった.それぞれのスコアで確診となるのは改訂版1例(1.6%),簡易版3例(4.8%)ですべてオーバーラップ症例であった.<2>当初AIH診断の43例中,NASHは3例(7.0%),オーバーラップは3例(7.0%)であった.NASH及びオーバーラップの6例とAIH単独37例の比較では両群で血液検査成績に有意差は認めなかったが,NASH群でBMIと改訂版AIHスコアが有意に高かった.また,病理組織ではAIH単独群でInterface hepatitis所見の程度が有意に強く,脂肪化,風船様細胞変性,マロリー体はNASH群で有意に多かった.また,オーバーラップ3例中2例はステロイド治療後の肝組織であった.【結論】ANA陽性NASHにおいて,改訂版・簡易版スコアが共に確診例ではAIH合併の可能性を考慮する必要がある.一方,AIHの診断においてはステロイド治療の経過も踏まえた病理組織の評価が重要であり,脂肪化,風船細胞変性,マロリー体などの所見がある場合にはNASHの可能性も考慮した判断が必要と思われる.
索引用語 AIH, NASH