セッション情報 |
ワークショップ9(肝臓学会・消化器病学会合同)
自己免疫性肝胆疾患の非定型例に対する対応と課題
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タイトル |
肝W9-6:男性自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変症例の臨床像の検討
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演者 |
高野 啓子(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
高橋 宏樹(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 銭谷 幹男(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】自己免疫性肝炎(AIH),原発性胆汁性肝硬変(PBC)はともに女性に高頻度に発症するが,近年男性例が非定型例として注目されている.そこで両疾患の臨床像の性差による差異を検討した.【方法】当科にて診断,加療されたAIH243例,PBC413例を対象に,女性例,男性例の診断時臨床像,検査値,治療反応性,予後を比較検討した.PBCの治療反応性はParis1,Paris2クライテリアにより評価した.【結果】AIHの男性例は13.2%で60歳以上が占める割合が有意に高かった(23.1vs38.8%,p<0.05).男性例は診断時ALT値が有意に高く(744±610vs446±508IU/l,p<0.05)副腎皮質ステロイド(PSL)のみで寛解維持できずアザチオプリン併用を余儀なくされる症例(14.7vs31.3%,p<0.001),複数回再燃例(7.6vs15.6%,p<0.05),PSL中止後再燃例(37.0vs66.6%,p<0.05)が有意に多かった.生命予後は差がないが肝細胞癌発癌率は男性例で高い傾向がみられた.PBCの男性例は13.8%で診断時肝硬変例が有意に多かったが(5.0vs15.8%,p<0.01),診断時検査値は男女差がなかった.男性例はParis1クライテリアでの非反応例が有意に多く(12.1vs32.7,p<0.001),Paris2クライテリアではUDCA単独治療の非反応例が有意に多かったが(8.4vs25.8%,p<0.01),UDCA・ベザフィブレート併用治療の非反応例は男女差がなかった.男性例は肝細胞癌発癌例が有意に多く(1.7vs7.0%,p<0.05),肝不全による死亡例も有意差はないものの多い傾向を認めた(1.9vs5.3%).【結論】AIH,PBCともに男性例が約13%に認められた.男性例は女性例に比し,AIHではPSL治療中の複数回再燃例およびPSL中止後の再燃例,PBCではUDCA治療非反応例が有意に多く,ともに肝細胞癌発癌例が多かったことから,注意深い治療法選択と経過観察が必要と考えられた. |
索引用語 |
自己免疫性肝疾患, 性差 |