セッション情報 |
ワークショップ9(肝臓学会・消化器病学会合同)
自己免疫性肝胆疾患の非定型例に対する対応と課題
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タイトル |
消W9-8:門脈庄亢進症先行型原発性胆汁性肝硬変の長期経過と予後―全国調査における検討からー
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演者 |
廣原 淳子(関西医大・3内科(消化器肝臓内科)) |
共同演者 |
仲野 俊成(関西医大・大学情報センター医療情報部), 中沼 安二(金沢大・形態機能病理学) |
抄録 |
【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)の進展形式には緩徐進行型,門脈庄亢進症先行型,肝不全型があることが知られている.黄疸の出現前に門脈庄亢進症状が先行する病型は非定型例として注目されているがその長期予後は明らかではない.厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班では1980年以来,継続してPBC全国調査を実施してきた.登録症例中,進展形式別に予後解析し,定型例との相違について検討した.【方法】PBC全国調査登録症例中2001年以降に登録された症例において診断時に症候性であったPBC785例を解析対象とした.診断時に,皮膚掻痒感のみ有する例を緩徐進行型,総ビリルビン値(T-Bil)2mg/dl未満かつ浮腫・腹水・食道胃静脈瘤・消化管出血のいずれかを有する例を門脈庄亢進症先行型とし,T-Bil 2mg/dl以上の例を肝不全型として比較検討した.生存率はKaplan-Meier法,統計学的解析にはSAS-JMPVer10を用い,p<0.05を有意とした.【成績】緩徐進行型431例(54.9%),門脈庄亢進症先行型206例(26.2%),肝不全型148例(18.9%)であり,男女比は各々1:6.6,1:6.4,1:8.9,診断時平均年齢は各々57.6±12.5,65.3±10.7,55.7±11.7歳であった.門脈庄亢進症先行型の予後は生存151,死亡38,肝移植1,不明16例であり,死因は肝不全20,消化管出血2,静脈瘤破裂1,肝細胞癌2,他病死13例であった.5年生存率は緩徐進行型99.1%,門脈庄亢進症先行型80.4%,肝不全型75.7%で各群間に有意差を認めた(p<0.05).【結論】本邦PBC全国調査登録例中,門脈庄亢進症先行型は症候性PBC全体の26.2%を占め,その診断時年齢は緩徐進行型・肝不全型に比較して高齢で,生命予後は肝不全型より良好であるが,緩徐進行型に比較して明らかに不良であった. |
索引用語 |
原発性胆汁性肝硬変, 予後 |