セッション情報 ワークショップ10(消化器内視鏡学会)

拡大・超拡大内視鏡による消化管疾患の診断

タイトル 内W10-2:

NBI併用拡大内視鏡を用いた日常診療における咽頭癌スクリーニング

演者 中西 宏佳(石川県立中央病院・消化器内科)
共同演者 竹村 健一(石川県立中央病院・消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院・消化器内科)
抄録 【背景と目的】NBI併用拡大内視鏡は咽頭癌の検出,診断に極めて優れている.我々は2006年8月にNBI併用拡大内視鏡を導入し,2009年1月からは全ての上部消化管検査で使用出来る体制となり,可能な限り全例に使用してきた.大多数に対する使用経験から,日常診療での咽頭癌スクリーニングについて検討する.【方法】単施設のretrospective study.対象は2009年1月から2012年12月の間にNBI併用拡大内視鏡を用いて上部消化管検査を実施した11107名.重複症例および頭頸部癌の治療前検査は除いた.咽頭癌発見頻度を求め,次に内視鏡検査目的別での咽頭癌発見頻度および治療選択について検討した.【結果】34症例(0.31%),45病変の咽頭癌が発見された.年齢中央値は67歳,男性が32症例(94.1%)で全男性の0.5%,女性は2症例(5.9%)で全女性の0.04%であった.内視鏡検査目的別では上部消化管スクリーニング検査(n=8872)で10症例(0.11%)12病変,咽頭違和感の精査(n=265)で3症例(1.1%)3病変,頭頸部癌の治療後サーベイランス(n=88)で4症例(4.5%)4病変,食道癌の治療前・治療後サーベイランス(n=282)で13症例(4.6%)22病変,胃癌の治療前・治療後サーベイランス(n=1600)で4症例(0.25%)4病変発見された.23症例(67.6%),29病変(64.4%)に内視鏡的切除あるいは局所外科切除が行われた.これらは全て病理学的に表在癌であることが確認され一括完全切除となった.残りの11症例(32.4%)には化学放射線療法が行われた.そのうち3症例は腫瘍の縮小が得られ内視鏡的切除が行われた.7症例はCRとなり,1症例はPDとなった.【結語】咽頭癌は0.31%の頻度で発見され多くは表在癌であった.患者さんにとって早期発見と低侵襲治療により得られるメリットが極めて大きい領域である.上部消化管スクリーニング検査においても0.11%の頻度で発見されることを認識し,可能な限り全例にNBI併用拡大内視鏡を用いた咽頭観察を行うことが有用であると考える.
索引用語 咽頭癌, NBI