セッション情報 ワークショップ10(消化器内視鏡学会)

拡大・超拡大内視鏡による消化管疾患の診断

タイトル 内W10-4:

Blue LASER Imaging拡大観察を用いた胃病変の良悪性診断の有用性

演者 土肥 統(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 八木 信明(京都府立医大・消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科)
抄録 【目的】我々はNBIと半導体レーザー内視鏡による狭帯域光観察(Blue LASER Imaging: BLI)とを比較検討することにより早期胃癌診断におけるBLI拡大観察の有用性を報告してきた.今回,BLI拡大観察の胃病変に対する良悪性診断の有用性を検討した.【方法】2012年7月から2013年1月までに当科で前向き試験としてレーザー白色光観察(通常観察)ならびにBLI拡大観察を行い,生検を施行した34症例36病変を対象とした.病変部位をまず通常観察し質的診断を行った後,BLI拡大観察を行い,既報のごとくVS classificationでリアルタイムに診断した.また,検討可能な通常観察ならびにBLI拡大観察の静止画を事前情報のない内視鏡医2名(A,B)にスライドで提示し,同様に診断した.【結果】病理学的に良悪性判定が困難であった2病変をのぞく,34病変について検討を行った.男性31人:女性3人,平均年齢67歳,平均病変サイズ 4.9mm,肉眼型IIa/IIb/IIc:12/6/16病変,部位 U/M/L 5/10/17病変であった.34病変中,早期胃癌は6病変ですべて分化型であった(tub1:5病変,tub1-pap:1病変).通常観察では領域性のある不整な隆起あるいは陥凹があれば癌と診断したときの感度は50%,特異度は84.4%で,BLI拡大観察においてDemarcation line陽性かつMS patternとMV patternのいずれかがirregularであれば癌としたときの感度は75%,特異度は100%であり,有意差を認めた(P=0.038).正診率は通常観察82.4%,BLI拡大観察94.1%であった(P=0.132).内視鏡医AおよびBの診断の感度・特異度は有意差なく,両判定医間での一致はκ=0.80,同一判定医の一致はA/B:κ=0.83/1.0であった.【結論】BLI拡大はMSおよびMV patternが明瞭に観察できることで,胃病変に対する良悪性診断において通常観察に上乗せ効果があり有用である.今後,症例の蓄積によりNBI同様にBLIでの胃癌診断の確立を行っていく必要がある.
索引用語 BLI, 胃癌