セッション情報 |
ワークショップ10(消化器内視鏡学会)
拡大・超拡大内視鏡による消化管疾患の診断
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タイトル |
内W10-5:胃未分化癌にみられる微小血管構築像の特徴
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演者 |
金坂 卓(大阪赤十字病院・消化器内科) |
共同演者 |
津村 剛彦(大阪赤十字病院・消化器内科), 圓尾 隆典(大阪赤十字病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】未分化型癌の組織学的特徴は,上皮下を癌が浸潤し非癌の腺窩を破壊するため腺窩構造が消失していることである.腺窩構造の保たれた胃上皮性腫瘍では,表層の微小血管は腺窩辺縁上皮(以下,MCE)とMCEの間の窩間部上皮下に存在するため,隣り合う微小血管の距離は少なくともMCEの幅の2倍以上と推測される.従って,これより狭い間隔で微小血管が配列している領域には腺窩が消失し,未分化型癌に特徴的な拡大内視鏡像となり得る可能性がある.【目的】NBI併用拡大内視鏡によって観察される微小血管間の距離により,分化型癌と未分化型癌の鑑別診断が可能か検討した.【対象】2010年1月から2011年10月までの期間に,当院で強拡大でのNBI併用拡大観察を施行した症例のうち,3cm以下の陥凹型早期胃癌55症例56病変を対象とした.【方法】強拡大でのNBI併用拡大観察で撮影された画像において,病変内の微小血管間の距離と背景粘膜のMCEの幅を比較した.切除標本の病理診断をgold standardに用い,微小血管間の距離がMCEの幅の2倍未満である場合(Vascular distance < 2MCE)の未分化型癌に対する感度,特異度及び正診率を計算した.【成績】対象病変の内訳は未分化型癌14病変,分化型癌42病変,平均腫瘍径は17.4±7.5mmであった.血管が視認可能な病変は50例で,Vascular distance < 2MCE陽性が12例,陰性が38例であった.また,視認困難な病変は6例であった.Vascular distance < 2MCE陽性例は全例が未分化型癌で,Vascular distance < 2MCE陰性例は未分化型癌が2例,分化型癌が36例であった.血管が視認困難な病変は全例が分化型癌であった.Vascular distance < 2MCEの未分化型癌に対する感度,特異度,正診率はそれぞれ,85.7%,100%,96.4%であった(P < 0.001).【まとめと考察】NBI併用拡大観察で観察されるVascular distance < 2MCEは,未分化型癌に対して高い診断能を有すると考えられた.ただし,表層は分化型であるにも関わらず,深部で未分化な形態を呈する病変は限界症例と考えられた. |
索引用語 |
拡大内視鏡, 未分化型癌 |