セッション情報 |
ワークショップ10(消化器内視鏡学会)
拡大・超拡大内視鏡による消化管疾患の診断
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タイトル |
内W10-7:WOS(White Opaque substance)陽性胃上皮性腫瘍における臨床病理学的検討-組織学的分化度および粘液形質の検討-
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演者 |
上尾 哲也(大分赤十字病院・消化器内科) |
共同演者 |
米増 博俊(大分赤十字病院・病理診断科), 石田 哲也(大分赤十字病院・消化器内科) |
抄録 |
(目的) White opaque substance (WOS)の正体は脂肪滴であることが報告されたが,WOS発現における臨床病理学的意味は未だ不明な点も多い.今回,WOS陽性胃上皮性腫瘍における組織学的分化度と粘液形質の検討を行った.(方法) 2009年7月~2012年9月にNBI拡大観察を行い,ESD又は手術で切除した131例の腺腫又は早期胃癌のうち,NBI拡大不良11例,病理との対比困難15例,腫瘍長径5mm未満の5例を除外した100例(腺腫33, 癌67)を対象とした.NBI拡大観察でのWOSの有無で,WOS陽性群と陰性群に大別した.検討1)組織学的に腺腫/分化型癌/未分化混在型癌/未分化型癌の4分類し,WOS発現との関係を検討した.更に,脂肪滴の膜蛋白を認識する抗体(Adipophilin)を用いた免疫染色により,Adipophilin発現腫瘍組織成分の特徴を検討した.検討2)CD10,MUC2,MUC5AC,MUC6抗体による免疫染色にて腫瘍粘液形質を腸型/胃腸混合型/胃型にわけ,WOS発現との関係を検討した. (結果) WOS陽性群は37例(腺腫18/癌19),陰性群63例(腺腫15/癌48)であった.検討1)WOS陽性群は腺腫48.6%(18/37),分化型癌48.6%(18/37),未分化混在型癌2.7%(1/37),未分化型癌0%(0/37)に対し,WOS陰性群は腺腫23.8%(15/63),分化型癌61.9%(39/63),未分化混在型癌7.9%(5/63),未分化型癌6.3%(4/63)と両群間に差を認めた(p=0.0369).Adipophilinの発現はWOS陽性群の97.2%,WOS陰性群の15.3%にみられ,陽性組織成分を検討すると,両群とも腺腫又は分化型癌成分にのみ発現があり,未分化型癌成分には発現がなかった.検討2)WOS陽性群の粘液形質は,腸型もしくは胃腸混合型100%(37/37)VS胃型0%(0/37)に対し,WOS陰性群では腸型もしくは胃腸混合型73.0%(46/63)VS胃型27.0%(17/63)と有意差(p=0.0002)を認めた.(結論)胃上皮性腫瘍にみられるWOSの発現の意味は,腫瘍の組織学的分化度が良く,腸型の粘液形質を有することを示唆すると考えた. |
索引用語 |
White opaque substance, 胃上皮性腫瘍 |