セッション情報 ワークショップ10(消化器内視鏡学会)

拡大・超拡大内視鏡による消化管疾患の診断

タイトル 内W10-8:

胃上皮性腫瘍は脂肪を吸収する

演者 大津 健聖(福岡大筑紫病院・消化器内科)
共同演者 八尾 建史(福岡大筑紫病院・内視鏡部), 長浜 孝(福岡大筑紫病院・消化器内科)
抄録 【背景と目的】我々は,胃上皮性腫瘍内に認める白色不透明物質(white opaque substance, WOS)の正体は,腫瘍上皮内・上皮直下に集積した微小な脂肪滴(Lipid droplets: LDs)であることを証明した[Dig Endosc 2003].しかし,微小な脂肪滴が食事などの外来性の脂肪に由来するか否かは明らかでない.そこで,胃上皮性腫瘍が経口的に投与された脂肪を吸収するか否か求めた.【対象と方法】2011年11月から2012年11月までに当院で胃上皮性腫瘍に対してESDを施行し,本試験に対する同意が得られた連続した66症例 (69病変)を本試験に組み入れた.脂肪乳化食品(ラクトアイス,脂肪含有量: 12.6 g)を検査前に経口摂取させた.脂肪乳化食品を経口摂取させた前後のNBI併用拡大内視鏡像を撮影記録した.腫瘍内のWOS密度を4段階に分けgrade分類し評価した.すなわち,WOSを全く認めなければgrade 0,WOSを腫瘍の0~1/3に認めた場合をgrade 1,1/3~2/3をgrade 2,2/3以上をgrade 3とした.WOS密度の判定は盲目的に行い,負荷前のWOS密度のgradeが負荷後に1段階上昇することをWOS密度増加と定義した.脂肪乳化食品を投与するタイミングにより前日当日群(16時間前と4時間前)23病変,当日群 (4時間前) 23病変,前日群 (16時間前) 23病変に分け,WOSの密度が増加した頻度を求めた.各群間の頻度の比較には,Chi二乗検定を用いた.【結果】脂肪乳化食品摂取前後でWOS密度が増加した頻度(病変数)は,前日当日群:78% (18/23),当日群:48% (11/23),前日群:26% (6/23)であり.すべての群でWOS密度が増加した.WOS密度の増加は,前日当日群において著明であり,前日群と比較して有意差(p=0.0003)を認めた.【結語】外来性脂肪摂取により胃上皮性腫瘍のWOS密度が上昇し,胃上皮性腫瘍は脂肪を吸収することが示唆された.
索引用語 white opaque substance (WOS), M-NBI