セッション情報 ワークショップ10(消化器内視鏡学会)

拡大・超拡大内視鏡による消化管疾患の診断

タイトル 内W10-9:

LUCERA ELITE電子ズーム併用Near Focus modeによる大腸腫瘍拡大診断能

演者 林 奈那(広島大・内視鏡診療科)
共同演者 田中 信治(広島大・内視鏡診療科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【背景】これまでEVIS LUCERA SPECTRUM/H260AZI (Olympus)によるNBI拡大観察の大腸腫瘍質的診断における有用性を報告してきた (GIE 2009).2012年10月にEVIS LUCERA ELITEが登場しHQ290シリーズが使用可能になった.CF-HQ290Iは,Dual Focus機能を有し,中遠景の観察に適したNormal Focusと近点観察に適した Near Focusがボタンワンタッチで切替え可能である.H260AZIの光学拡大最大倍率が約80倍であるのに対し,Near Focus時の倍率は45倍であるが,電子ズームの併用により倍率の差を補うことが可能とされている.【目的】HQ290I電子ズーム併用Near Focusと,H260AZIの光学ズームによる大腸病変診断能を比較検討する.【対象と方法】対象は,1) HQ290Iを用いて電子ズーム併用Near Focus NBI拡大観察を施行した大腸病変136病変と, 2) HQ290I とH260AZIの両方でNBI拡大観察とpit pattern観察を施行した大腸病変96病変である.NBI分類は広島分類を用い,1) HQ290Iを用いた1.6倍電子ズーム併用Near Focus NBI拡大所見と組織型・深達度の関係,2) H260AZIによる光学ズームNBI拡大所見およびpit pattern所見と,HQ290Iによる1.6倍電子ズーム併用Near Focus NBI拡大所見およびpit pattern所見を比較検討した.【結果】 1) Type A SSA/P 100% (6/6), Type B HP・SSA/P 5% (4/77), TA 73% (56/77), M/SM-s 22% (17/77), Type C1 TA 29% (10/34), M/SM-s 65% (22/34), SM-d 6% (2/34), Type C2 TA 13% (2/15), M/SM-s 20% (3/15), SM-d 67% (10/15), Type C3 SM-d 100% (4/4)であり,これはH260AZIによる既報の結果と同等であった.2) HQ290IのNBI 拡大所見はType A 4例, Type B 49例, Type C1 29例,Type C2 11例,Type C3 3例,pit pattern所見はII 8例,IIIL 29例,IV 14例,VI-L 33例,VI-H 10例,VN 2例で,H260AZIによるNBI拡大所見,pit pattern所見と全例一致した.【結語】HQ290Iの1.6倍電子ズーム併用Near Focus拡大観察能はH260AZIの光学ズーム拡大観察能と同等である.
索引用語 NBI, Dual Focus