セッション情報 ワークショップ11(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

病態別に見た肝予備能評価の新展開

タイトル 外W11-4:

障害肝併存肝癌切除術におけるアシアロ推定残存肝機能評価による術式決定

演者 松井 康輔(関西医大・外科)
共同演者 海堀 昌樹(関西医大・外科), 權 雅憲(関西医大・外科)
抄録 【目的】当科での肝葉切除に対する術前アシアロ推定残存肝機能評価による術式決定を供覧.【方法】620例原発性肝癌肝切除を行い拡大肝葉切除,葉切除,中央2区域切除は総数96例施行.大腸癌転移性肝癌179例に行い肝葉切除以上術式は51例.検討項目は(1)術前ICGR15とGSA-Rmax(最大受容体結合量)との乖離例検討,(2)術後肝不全回避のための安全推定残肝GSA-Rmax算出,(3)葉切除以上での術後合併症回避のための残肝GSA-Rmax算出,(4) GSA肝シンチグラムとMDCT脈管構築のfusion画像を用いた推定残存肝機能の術前予測.造影CTより構築した脈管および肝実質3D画像とGSA SPECT画像の3D-fusion画像に切除予定線を引き,切除予定肝・残存肝の区域別推定残存肝容積および肝機能GSA-Rmax算定.特に門脈塞栓術(PVE)後の切除適応を検討.【結果】(1) 術前ICGR15が20%未満ではICGR15およびGSA-Rmaxは他肝機能因子(AST,T.Bil,Plt,Alb,Che,PT,4型コラーゲ7S,ヒアルロン酸)と有意な相関を示したが,ICGR15が20%以上ではGSA-Rmaxは他因子と相関良好も,ICGR15はT.Bilとのみ相関.ICG R15が20%以上症例ではGSA-Rmaxとの乖離例が多数存在.(2)(3)肝区域別のGSA残肝機能とCT残肝容積とは非腫瘍部が正常肝,慢性肝炎,肝硬変において,それぞれ相関係数0.767およびP値<.0001,0.163および0.198,0.184および0.096で慢性肝炎・肝硬変ではGSA残肝機能とCT残肝容積は相関認めず.障害肝併存肝癌切除術において術後肝不全を発生させない安全推定残肝GSA-Rmaxは0.150mg/min以上,2区域切除以上において術後合併症を発生させない安全推定残肝GSA-Rmaxは0.250mg/min以上.(4) 障害肝併存肝癌症例に対しPVE5例施行,安全推定残肝GSA-Rmaxを指標に拡大葉切除3例,区域切除2例を施行.術後合併症認めず.【考察】我々はアシアロGSARmaxが肝臓外科における最も有用で信頼できる術前肝予備能評価法であると認識.CTとの融合画像で検出される推定残肝GSA-Rmaxは,より精密に障害肝の術前耐術能評価が可能で,大型肝癌に対する術式決定に有用である.
索引用語 拡大肝切除, アシアロ推定残存肝機能