セッション情報 ワークショップ11(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

病態別に見た肝予備能評価の新展開

タイトル 外W11-5:

門脈塞栓術症例におけるアシアロシンチにより肝予備能評価

演者 爲佐 卓夫(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
共同演者 坂本 和彦(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
抄録 門脈塞栓術(PVE)前後の肝予備能評価においてCT残肝容積のみならずアシアロシンチ肝機能評価(シンチ残肝機能)は有用である.
【目的】門脈塞栓術前後の肝予備能評価の検討を行う.
【対象】2006~2013.1のPVE症例31例を対象とした.PVEはICG15R15%以下で残肝容積or残肝機能が40%以下の症例に対して行った.
【結果】対象疾患は胆管癌14例,肝癌13例,その他4例で予定術式は右葉切除(拡大を含む)24例,右三区域切除3例,その他4例であった.実測ICG15RはPVE前後で13.2%,12.8%であり,アシアロシンチからの換算値でもPVE前後で14.6%,13.7%と差を認めず,PVE前後で全肝の肝予備能に変化はなかった.CT残肝容積はPVEにより37.3%から47.3%,シンチ残肝機能は37.3%から53.1%と,それぞれ有意に増加していた(P<0.01:Mann-Whitney test).表に示すとおり,B群のように従来のCT残肝容積のみでは切除不能としていた症例でもシンチ残肝機能評価後に安全に手術を施行できた.B・C群を比較したところ,有意差はないものの,両者のCT増加率が5%であるのに対してシンチ残肝増加率はB群が12.4%,C群が7.5%とB群では機能増加を評価していた.
【結語】門脈塞栓術後のアシアロシンチによる残肝機能評価は適切に肝機能を評価できる可能性がある.
索引用語 門脈塞栓術, 肝アシアロシンチ