セッション情報 |
ワークショップ11(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
病態別に見た肝予備能評価の新展開
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タイトル |
消W11-7:減黄過程中の血中δビリルビン分画と肝機能の推移
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演者 |
石沢 武彰(東京大・肝胆膵外科) |
共同演者 |
今村 宏(東京大・肝胆膵外科DELIMITER信州大・消化器外科), 國土 典宏(東京大・肝胆膵外科) |
抄録 |
【目的】閉塞性黄疸に対する減黄の効果は血清総ビリルビン濃度により評価されるが,肝機能との関連は不明である.閉黄症例では血中アルブミンと共有結合したδビリルビン(Bδ)が存在する.Bδは細胞毒性を持たないが,その半減期はアルブミンの半減期を反映して長い.そこで減黄中のBδ,非Bδ分画濃度の推移を評価し,肝機能との関連を検討した.【方法】対象は閉塞性黄疸に対して胆汁ドレナージを行った28例.減黄直前および減黄後1~14日後に高速液体クロマトグラフィーを用いてBδ,非Bδ(非抱合, 1抱合, 2抱合ビリルビン分画の和)を測定した.また減黄前後の肝機能を,antipyrineおよびaminopyrine clearance(CLant,CLamp),血清プレアルブミン(PA),胆汁酸(BA)濃度,99mTc-GSAシンチグラフィー(LHL15,HH15)で評価した.【成績】非Bδの半減期はBδよりも短く[中央値(範囲),2.4(0.7-18.7)日 vs 13.6(7.7-63.0)日,P<.001],胆汁の腸管循環がない場合と胆管炎の発症で延長した.Bδの半減期は,顕性黄疸発症から胆汁ドレナージまでの期間が長いと延長する傾向にあった.CLant,CLampは減黄前値[17.4(3.8-23.0)mL/minおよび93.1(29.4-150.1)mL/min]から減黄3日後には23.7(13.5-42.2)mL/minおよび191.0(81.9-235.3)mL/minと正常値に復し,7,14日後も同様であった.血清BAは減黄3日後,PAは7日後に正常値に復し14日後も同様であった.LHL15,HH15値には減黄前後で有意差を認めなかった.減黄後7日目の血清BA濃度が正常だった群は,異常値群よりも減黄前の非Bδ濃度が低かった[4.7(2.0-18.2)mg/dL vs 8.0(3.7-20.7)mg/dL,P=.035].【結論】肝機能指標の多くは減黄後速やかに正常値に回復し,これは非Bδの半減期とほぼ一致しており,減黄の成否は血中総ビリルビン濃度よりも非Bδ分画濃度による評価が妥当である可能性が示唆された.非Bδを効率よく低減させるためには,胆管炎の発症を予防し,胆汁の腸管循環が保たれるドレナージ法を選択することが有効である. |
索引用語 |
閉塞性黄疸, 胆汁ドレナージ |