抄録 |
【目的】肝疾患の治療において,肝線維化の程度を評価することは非常に重要である.近年,RTEなどエコーを用いた非侵襲的な方法が実用化されている.また,血液検査データを用いた,FIB-4index(=AST×年齢/(血小板×√ALT))などのスコアも注目されている.今回組織診断が得られている症例についてRTE,FIB-4indexでの肝線維化診断の有用性について検討した.【方法】肝生検と同時にRTEも施行した62症例のうち,急性肝炎の8症例を除外した54症例を解析対象とし,患者背景およびRTEで得られるLFindex,FIB-4indexによる肝線維化進展度の評価について比較検討を行った.【成績】全症例(n=62)の患者背景は,男:女29:33人,平均年齢52.5±13.7歳,平均BMI 24.4±3.8kg/m2,HBV(+):HCV(+):NBNC 10:16:36人であった.解析対象群(n=54)の肝生検での肝線維化進展度は,F0:F1:F2:F3:F4=15:24:12:1:2人,FIB-4indexはF0 1.66±1.3,F1 2.01±1.1,F2 3.26±1.7,F3 3.48,F4 2.42±0.47, LFindexはF0 2.41±0.2,F1 2.98±0.2,F2 2.95±0.3,F3 4.15,F4 4.82±0.3であった.FIB-4indexとLFindexには相関は認められなかった.LFindexは,肝生検で診断されたF0-F1間,F2-F4間に有意差を認めた(F3の症例数が1名であるためF2とF4で比較).また,FIB-4indexは,F1-F2間のみに有意差を認めた.また,LFindexと,肝生検での肝線維化進展度には明らかな相関は認められなかったが,BMI30未満の症例で検討を行うと,全体で検討した結果よりばらつき測定値が明らかに少なかった.【結論】FIB-4indexおよびLFindexと肝線維化進展度に明らかな相関は認めなかった.F2-F4間のLFindexに有意差があり,明らかな線維化進展例の除外が可能ではないかと考えられた.しかし FIB-4index,LFindex共に年齢や肥満度などの様々な要素に値が左右される可能性があり,注意を要すると考えられた. |