セッション情報 |
ワークショップ11(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
病態別に見た肝予備能評価の新展開
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タイトル |
肝W11-10:Gd-EOB-DTPA MRIを応用した化学療法関連肝障害度評価の検討
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演者 |
熊澤 慶吾(国立国際医療研究センター・外科) |
共同演者 |
枝元 良広(国立国際医療研究センター・外科) |
抄録 |
【背景】近年ではStage IV大腸癌における術前補助療法により肝切除率の向上を認める反面,化学療法関連肝障害も加わり,一般的術前肝機能検査であるICG負荷試験,99mTc-GSAシンチなどでは不十分なケースも散見され,さらなる非侵襲的診断方法の確立が望まれる.我々はGd-EOB-DTPA MRIの術前肝機能検査としての有用性を報告してきたが,今回化学療法による肝実質変化の評価においても有効であるのか検討を行った.【方法】2008年6月から2012年11月までに肝切除が行われた118例.男性84例,女性34例.年齢中央値69才.術前にICGR15,99mTc-GSA シンチ (HH15,LHL15),MRIが行われた.Gd-EOB-DTPA 造影剤投与15分後に肝細胞造影相の撮影を行い,造影肝と脊髄液の信号比(IRLS)を測定した.摘出標本の病理組織学的肝線維化の程度(F0からF4)を評価し,また化学療法を行った症例においてはsinusoidal obstruction syndrome (SOS)の有無について評価を行った.【結果】疾患別では肝細胞癌,転移性肝癌,肝内胆管癌,その他はそれぞれ53例,59例,3例,3例であった.うち術前に化学療法が行われていたのは23例であった.各肝機能検査の中央値は,ICGR15:11.2%,HH15:0.571,LHL15:0.982,IRLS:1.97であった.病理組織学的検討では肝線維化の程度は F0,F1,F2,F3,F4がそれぞれ86例,7例,9例,6例,10例.SOSの所見が6例で認められた.化学療法が施行された23例のうちSOSが認められなかった17例の各肝機能検査の中央値は,ICGR15:11.1%,HH15:0.584,LHL15:0.983,IRLS:1.98であった.これに対しSOSが認められた6例は,それぞれ11.5%,0.641,0.981,1.71であった.2郡間の比較検討をおこなったところ,SOSを識別する術前検査はIRLSのみであった.IRLS:1.71はF3と同等の信号比であった.【まとめ】IRLSが1.7よりも低い場合,正常肝であっても肝硬変に近い状態の類同障害が類推される.今回Gd-EOB-DTPA MRIは化学療法関連肝障害の評価もおこなえうる可能性が示唆された. |
索引用語 |
Gd-EOB-DTPA MRI, sinusoidal obstruction syndrome |