セッション情報 ワークショップ12(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

機能性ディスペプシア-診断と治療の現況を巡って-

タイトル 消W12-1:

内科医の機能性ディスペプシアの認知度と診療姿勢

演者 金子 宏(星ヶ丘マタニティ病院)
共同演者
抄録 【背景と目的】機能性ディスペプシア(FD)は内科領域ではcommon diseaseである.日本内科学会認定専門医におけるFDの認知度と診療姿勢に関する状況を把握することを目的にアンケート調査を行った.【方法】平成21年度日本内科学会生涯教育講演会Aセッションの参加者に,FDに関する質問票を配布し,会場退出時に回収箱に投函していただいた.内容は基本的属性,FD診療の状況,FD患者への説明・診療姿勢,ローマ基準の認識と診療での活用の有無とした.日本内科学会の許可を得て,無記名・自由投函とした.【結果】総参加者4,264人のうち1,660名が投函した.そのうち内科医1,623名(年齢幅24-90歳)を対象に解析した.1)Functional dyspepsia,機能性胃腸症,機能性ディスペプシア,慢性胃炎という病名を知っている人はそれぞれ68.9%,66.9%,62.0%,95.5%であった.2)FD認知度は,開催地間,勤務地(都市部・田舎)で差はなかった.3)FD認知度は慢性胃炎と異なり,臨床歴,勤務形態,診療患者数で異なった.4)ロジスティック回帰分析の結果,FD認知には臨床歴,専門領域,診療患者数,日本消化器病学会専門医かどうかが影響する因子であった.5)医師がFD患者に告げる診断名は,機能性胃腸症(50.8%),慢性胃炎(50.0%),FD(26.7%),機能性ディスペプシア(18.6%),心配ない(12.0%),異常なし(6.1%),気のせい(0.7%)であった.6)FD患者に対する診療姿勢は,積極的にする(23.6%),普通にする(72.6%),あまり診察したくない(3.8%)であった.診療姿勢を決定する因子は,性,臨床歴,勤務形態,診療患者数,日本消化器病学会専門医であった.7)ローマ基準の存在を知っている者は39.9%で,そのうち31.8%が診療に活用していると回答した.認識していて活用することに関与する因子は臨床歴,診療患者数であった.【結論】FDの認知度は勤務地に関係なく約7割であった.今回の調査結果から,FD認知の拡充ターゲットは臨床歴が10年未満と41年以上の医師で,積極的な診療を31年以上のベテラン医師に要請することが有用であることが示唆された.
索引用語 認知度, 診療姿勢