セッション情報 |
ワークショップ12(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)
機能性ディスペプシア-診断と治療の現況を巡って-
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タイトル |
消W12-7:機能性ディスペプシアに早期慢性膵炎が存在する可能性について
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演者 |
門阪 薫平(近畿大・消化器内科) |
共同演者 |
北野 雅之(近畿大・消化器内科), 工藤 正俊(近畿大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】近年超音波内視鏡(EUS)の出現によって今まで診断しえなかった微細な膵実質の観察が可能となり,2009年に慢性膵炎臨床診断基準において新たに早期慢性膵炎(ECP)が提唱され,ECPが機能性ディスペプシア(FD)として診断されていた可能性が考えられる.今回我々はFDにおけるECP像の有無について検討した.【方法】2009年4月から2012年6月までに血液検査(炎症反応,肝機能異常),上部内視鏡検査,腹部エコー検査において異常所見を指摘できず,EUSを施行され早期慢性膵炎の画像所見を満たした432症例を対象とした.これらのうちRoma3の診断基準を満たすもの(a)と満たさないもの(b)に分類し,EUS早期慢性膵炎画像所見Lobularity with honeycombing(L with H),Lobularity without honeycombing(L without),Hyperechoic foci without shadowing(Foci),Strands,Cysts,Dilated side branches(DSB),Hyperechoic MPD margin(MPD)の陽性率とEUS早期慢性膵炎所見数を比較検討した. 【結果】Roma3の診断基準を満たすものは432例中158例(36.6%)であった.これらのうちで早期慢性膵炎確診例は53例(12.2%)であった.EUS早期慢性膵炎所見数は(a)3.1±0.80,(b)2.7±0.78となりRoma3診断基準を満たすものは有意にEUS所見数が多かった(p<0.001).(a)での各EUS所見陽性例は,L with H 24.8%,L without H 12.4%,Foci 55.7%,Strands 59.3%,Cysts 42.4%,DSB 13.3%,およびMPD 60.2%であり,L with H,L without H,Strands ,およびMPD の陽性率は(b)と比較して有意に高値であった(p<0.05).【考察】FDと考えられている症例に早期慢性膵炎が含まれている可能性が示唆された.FDの患者にEUSを施行し早期慢性膵炎が診断されれば,治療介入による症状改善が期待される. |
索引用語 |
機能性ディスペプシア, 早期慢性膵炎 |