セッション情報 ワークショップ13(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

NST活動の現状と問題点

タイトル 外W13-1:

中規模地域基幹病院におけるNST活動の現状と課題

演者 飯島 正平(箕面市立病院)
共同演者 池田 公正(箕面市立病院), 黒川 英司(箕面市立病院)
抄録 【はじめに】当院は317床の中規模地域基幹病院である.栄養サポートチーム(NST)は2002年病棟やNSTが拾い上げる全科型で稼働し,電子カルテを駆使した8年間の活動後,2010年からのNST加算では4月より算定開始し,要件を意識し改変してきた4年間の現状と問題点について報告する.【方法】当院NSTでは,栄養管理実施加算以前より入院スクリーニングの全例実施による入院時からの関与を目指し,事務作業効率化のため電子化も進めた.教育としては,JSPEN専門療法士の所得を推進し,月2回の院内勉強会の他,92回の地域医師会との合同勉強会を開催してきた.NST加算評価時には,早急に院内体制を要件に合わせて変更し,実際の算定は厳格に要件達成を判断した.そして,算定開始後はより堅実な体制の維持と制度の趣旨に沿う対象の拡大を目指した.【結果】電子化はNST加算対応専用アプリケーションを構成し,更なる省力化を図った.NSTは専従1名に,4職種の確実な回診参加のため従来メンバーを回診ごとに職種別複数担当性とした.専従1名の負担軽減と継承対策として,専従候補を常に複数養成し,業務制限のない専任と制限のある専従を交代制で施設基準申請し,週4回の回診を常にサポートし合う体制とした.報告書に必要な全血液検査は院内当日検査とし,回診至近の全項目把握を目指し,昨年は97%の所得率となった.回診は担当の専門性を生かした週4回体制とし,対象は従来の基準に加えて病棟や診療科別の具体的な事例を示すことで拡大を図った.2010年4月は198件算定し,その後平均237件/月,2012年では平均346件/月に達し,その92%が入院10日以内に回診され,パス逸脱例や化学療法例で遅れての関与となっていた.【考察】診療報酬制度改訂対策としては,計画的な人材育成に尽きる.また,専従に集中しがちな活動をチーム全体で患者目線で進めることが必要で,毎年職員が相当数入れ替わる施設では交代時に地道な啓発活動が必須である.そして,地域からの要望も年々強くなっており,地域NSTのネットワーク化が求められている.
索引用語 NST, 栄養療法