セッション情報 ワークショップ13(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

NST活動の現状と問題点

タイトル 外W13-3:

大規模大学病院におけるNST活動の現状と問題点

演者 森 直治(藤田保健衛生大・外科・緩和医療学)
共同演者 東口 高志(藤田保健衛生大・外科・緩和医療学), 伊藤 彰博(藤田保健衛生大・外科・緩和医療学)
抄録 【目的】1489床,38病棟からなる我が国最大規模の医学部付属病院において,2010年10月から総勢150名のPPM-III方式による全科型NSTを設立し活動している.NST活動,メタボリッククラブ(NST勉強会,月一回2012年12月まで計27回)などを通じ,栄養管理の向上,標準化を進めてきた.今回,大規模大学病院における当院のNSTの現状と問題点につき報告する.【方法】A. 2010年10月から2012年12月までのNSTがサポートを行った1186例(のべ2455回)のうち,消化器外科(上部消化管外科,下部消化管外科,胆膵外科,肝脾外科)が主科であった257例(のべ537回)につき検討した.B. 2012年11月8日に行った単一日における全入院患者の栄養調査(当院倫理委員会承認済み)結果を,消化器外科患者を中心に解析した.【結果】A. NSTの平均サポート回数は2.03±1.58回で,1回124例,2回70例,3回36例,4回12例,5回以上16例であった.2回以上のサポートを行った133例の退院転帰は治癒・軽快68例,不変11例,死亡34例,入院中20例で,NSTサポート開始時のアルブミン値,総リンパ球数,BMI,入院からサポート開始までの日数を治癒・軽快例と死亡例で比較したところ,軽快群では死亡群に比し有意に,入院からサポート開始までの日数が長く(治癒・軽快/死亡:39.9±51.7/65.7±59.0日, p<0.05),サポート開始時のアルブミン値が低かった(治癒・軽快/ 死亡: 2.67±0.49/ 2.23±0.5 g/dl, p<0.0001).→ 今後,より早期からのサポートが必要.B. 消化器外科163例中,摂取カロリー量がHariss-Benedictの式による基礎エネルギー消費量の70%以下であった症例が27例あり,術後3日以内12例,がん終末期3例を除いた12例で栄養投与量の不足が疑われた.【結語】大規模大学病院で全科型NST活動を展開し,栄養管理の標準化が進みつつあるが,未だ十分とは言えず,今後さらに活動を推進し,質の高い栄養管理体制を構築していきたい.
索引用語 NST, 栄養サポート