セッション情報 ワークショップ13(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

NST活動の現状と問題点

タイトル 消W13-5:

消化器系患者に対するNST活動の問題点―消化器内科・外科医師単独に勝るチーム医療の優位性を示すことの重要性

演者 宮地 正彦(愛知医大・消化器外科)
共同演者 宇留間 元昭(愛知医大・NST), 早川 俊彦(愛知医大・NST)
抄録 【目的】当院では入院全例の栄養アセスメント結果から高度栄養障害(高度障害)とされ,主治医がNSTラウンドを希望した症例に対し,NSTラウンドを行っている.依頼科により依頼率に差があり,消化器系患者のラウンド例数は少ない.今回は消化器系患者におけるNST依頼率が低率である原因を検討し,NST所属の消化器外科(消外)医を中心に消外病棟でNSTラウンドを行い,その効果も検討した.【対象】平成23年4月から24年3月に入院し,栄養アセスメントで高度障害と判断された792例のNSTラウンド依頼率を調査した.消外病棟のNSTナースが平成24年4月から12月に入院した高度障害例,食事摂取不良例から74例をピックアップし,NST所属消外医,看護師,栄養師,嚥下療法看護師で週1回ラウンドした.その結果について全病棟ラウンド結果と比較検討した.【成績】高度障害例792例中,NSTラウンド依頼は74例(9.3%)であり,消化器系の高度障害患者は277例,35.0%と高率であったが,依頼率は1.8%と他科の13.3%と比べ,極めて低率であり,消化器系医師はNSTの関与を望まなかった.NSTラウンド依頼56例中,2回以上ラウンドした50例に対し,平均5.8回のラウンドを行ったが,消外病棟ラウンド施行74例に対し,2回以上ラウンドした49例(手術後15例,術後合併症17例,癌末期17例)に対し,平均3.9回のラウンドを行い,全科ラウンドより短期間の関与であった.食事指導を49例,補液内容の変更指導を44例,栄養法の変更指導を19例,嚥下指導11例,緩和指導10例に行い,改善35例,71%,不変12例,25%,悪化2例,4%で,全体ラウンドの56%,28%,10%より,癌末期が多いにも関わらず改善例が多かった.主治医もNST指導に従うように変化した.【結語】消化器系医師からNSTラウンドの依頼率は低く,NSTに栄養管理を頼りたくないとの思いがある.消外科病棟には栄養障害例が多く,NSTの関与は短期間に状態を改善させ,医師の栄養管理能力も高める効果を認めた.
索引用語 NST, 消化器外科