セッション情報 |
ワークショップ13(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)
NST活動の現状と問題点
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タイトル |
外W13-6:当科における肝切除周術期ERASの新規導入に関する検討
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演者 |
阿佐美 健吾(東北大病院・移植・再建・内視鏡外科) |
共同演者 |
宮城 重人(東北大病院・移植・再建・内視鏡外科), 川岸 直樹(東北大病院・移植・再建・内視鏡外科) |
抄録 |
【目的】ESPENを中心として,消化器系手術術後の早期離床・早期退院のためのERAS(Enhanced Recovery After Surgery)プログラムが提唱されており,その有効性が示されている.本邦においても多くの施設で導入されてきているが,肝切除周術期に関してはその報告は多くはない.そこで我々は,栄養介入に主眼をおいた肝切除周術期ERASプログラムを新規導入し,「栄養」・「感染症」・「在院日数」の観点からERAS導入前の症例と比較検討した.【方法】2012年ESPENから出されたERASガイドラインを参考とした.肝癌に対する肝切除症例に対して2012年12月よりERASプログラムを漸次導入した.内容としては,経腸栄養剤を使用した術前からの栄養介入,手術3日前から術後5日目までのsynbiotics実施,手術前日の下剤の簡素化,手術当日朝のcarbohydrate loading,モノフィラメント吸収糸による真皮埋没縫合の実施,硬膜外麻酔を中心とした疼痛管理,術後早期経口摂取開始,早期離床,以上8項目を柱とした.また積極的に腹腔鏡下肝切除術を施行した.対照は,2011年1月~2012年11月までに当科で実施した肝癌に対する肝切除施行54症例である.【成績】ERAS非実施群と比較してERAS実施群では,術後感染症が減少し,点滴施行期間及び在院日数が短縮する傾向が見られた.なおERASプログラムを漸次導入し始めて以来,術後感染症はまだ発症していない.【結論】肝癌に対する肝切除周術期に,栄養介入に主眼をおいたERASプログラムを導入した.今後の追加解析にて術後感染症の軽減や在院日数短縮が見込まれる.いずれは肝移植レシピエント周術期に適応を拡大させていく予定である. |
索引用語 |
ERAS, 肝切除 |