セッション情報 ワークショップ13(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

NST活動の現状と問題点

タイトル 消W13-8:

急性膵炎における経腸栄養の実態とNSTの重要性

演者 横江 正道(名古屋第二赤十字病院・総合内科)
共同演者 真弓 俊彦(産業医大・救急医学), 竹山 宜典(近畿大・外科)
抄録 【はじめに】急性膵炎,とくに重症急性膵炎では適切な輸液管理や栄養管理,また必要に応じて集中治療を施さなければ予後不良となる.栄養補充法のみならず,Bacterial Translocation対策,感染対策としての経腸栄養が注目されている.経腸栄養施行に関する実態把握のため,アンケートによる調査を行った.【対象・方法】日本栄養療法推進協議会(JCNT)におけるNST稼働施設にアンケート送付.875施設にアンケート送付し284施設から回答を得た(回答率32.5%).【結果】225施設で急性膵炎の診療を行っており,二次救急施設は129施設・三次救命センターが55施設,高度・高次救命センターは29施設であった.消化器病専門医・外科専門医・NST専門療法士は80%以上の施設で確保されていた.急性膵炎に対する経腸栄養は133施設(59%)で施行.実際に急性膵炎の経腸栄養療法をリードする医師は消化器内科が66%と最多で,次いで消化器外科が15%であった.経腸栄養開始基準の作成施設は19施設と少なく,腸蠕動音の聴取,膵酵素の低下などが開始の目安となっていた.入院後7日目に開始することが最も多いこともわかった.回答された病院では,NSTはまずまず活発に稼働しているという回答でありながら,急性膵炎の経腸栄養に関してはNSTの関与は低率であることも判明した.【考察】予後改善を期待するためには,その効果とエビデンスなどの啓蒙と普及が必要であり,今後,多方面からの推進を図り,早期経腸栄養の適正な普及を進めることが重要と考えた.【結語】急性膵炎に対する経腸栄養の実態を網羅的に把握したアンケート結果となった.
索引用語 急性膵炎, 経腸栄養