セッション情報 |
ワークショップ13(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)
NST活動の現状と問題点
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タイトル |
消W13-11:当院での10年間にわたる胃瘻造設の集計から
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演者 |
水野 達人(佐野厚生総合病院・消化器内科) |
共同演者 |
小林 真介(佐野厚生総合病院・消化器内科), 岡村 幸重(佐野厚生総合病院・消化器内科) |
抄録 |
栃木県の脳血管疾患の年齢調整死亡率は男性5位,女性2位である(平成22年厚生労働省統計).当院においても胃瘻の必要性が高まっている中で,経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)に関する臨床的エビデンスは必ずしも確立されていない.【目的】高齢者を中心とした当院における胃瘻患者の造設後の実態を明らかにする.【方法】2003年4月から2012年12月までに当院でPEGを施行した365例(男186名,女179名)を対象とした.2007年3月までの前期群103例と,当院独自のPEG施行基準(1.血清アルブミン値2.5g/dl以上,2.CRP5未満,3.体温37.5度以下,4.酸素吸入2L/分以下)を設けた2007年4月以降の後期群262例に分類し,造設後1ヶ月以内の早期死亡率を比較した.また両群を併せた328例(男160名,女168名)を年齢別に分類し,90歳以上,70~80歳代および70歳未満の3群に分けて1年以上の長期生存率を算出,比較検討した.【結果】前期群103名中,1ヶ月以内の早期死亡者は16名(15.5%)であったのに対し,後期群では262名中17名(6.5%)とPEG施行基準導入後は早期死亡率の有意な減少を認めた.また造設時90歳以上の23名のうち,1年以上生存者は12名(52.1%)であり,70~80代の240名中122名(50.8%)と比べて有意差がなかった.69歳以下では65名中45名(69.2%)であり,70歳以上の263名中134名(51.0%)よりも有意に高かった.男女別,疾患別での死亡率に有意差は認めなかった.【結論】極度の低栄養や重篤な感染症を併発している場合にはそれらの治療を優先してから胃瘻造設することで,1ヶ月以内の早期死亡率を有意に減少させることができた.また全身状態が良好な90歳以上の超高齢者では,90歳未満の年齢層と比較してもPEG施行後の生命予後に有意差は認めなかった. |
索引用語 |
PEG, 生命予後 |